松下幸之助の言葉~人間大事の心
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社員育成、成果、次の事業―経営者の三つの責任
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大不況下でも解雇や減給をしなかった幸之助―経営の原点
松下幸之助の言葉~人間大事の心(1)一人も解雇するな、1円も給料を下げるな(前編)
江口克彦(株式会社江口オフィス代表取締役社長 /元参議院議員/PHP総合研究所元社長)
松下幸之助の晩年23年間を秘書として仕え、PHP研究所の社長も務めた江口克彦氏が、今の時代でも色あせない「経営の神様」の珠玉の言葉について語る。1929年の世界恐慌の際、松下電器製作所は大不況の中で社員の解雇も減給もせず、なおかつ成長を遂げた。松下幸之助の経営の根底にあった揺るぎない人間観とは何だったのか? シリーズ講話第1回(前編)。
時間:14分45秒
収録日:2014年1月20日
追加日:2015年4月1日
≪全文≫

●「人間大事」の哲学は、お客さまも社員も同様に敬う


―― 松下幸之助シリーズの最後になるかもしれないこの本『ひとことの力:松下幸之助の言葉』(東洋経済新報社)を読ませていただいて、大変感銘を受けました。特に「一人も解雇するな、1円も給料を下げるな」というあたりからお話を聞かせていただければと思います。

江口 松下幸之助という人は、経営をやっていくときに、商売のための商売や経営のための経営ではなく、人間のための商売、人間のための経営というか、あの人の根底に常に流れている“人間大事”、つまり「人間とは非常に素晴らしいものであり、その本質はダイヤモンドだ」という意識が強かったのです。そのような人間観があります。

 それと、もう一つ、松下幸之助さんは非常に苦労したということがあります。大正7年に松下電器製作所を始めましたが、言ってみれば中小零細企業ですから、吹けば飛ぶような小さな会社で、人を募集しても誰も来ない。もちろん優秀な人も来ないという状態でした。しかし、それでも人手が必要だという状況の中で、何とか人を採っていくのです。時には優秀ではない人も採用しました。しかし、いかがなものかと思えるような人たちも、松下幸之助さんと松下電器製作所で仕事をしていると、だんだん力をつけていくのです。

 そして、それを「わしが教育しているから当たり前だ」とか「仕事をしているのだから当たり前だ」という考え方ではなく、「なぜ人間はどんどん成長していくのか」「なぜどんどん仕事ができるようになるのか」「人手が要るからと、能力がないのではないかと思いながらも採用した人も、能力を発揮するようになるのはすごい」という考え方を持ってやっていったのです。それが、「人間は誰もが大事だ」「素晴らしい存在だ」という意識につながるのです。

 ですから、松下幸之助さんと話をすると、“人間から出発する”ということが根底に流れている話が多いのです。例えば、“いいものを安くたくさん”という話がありますが、それは、いいものを安くたくさんつくれば「もうかるから」という、商売や経営の次元で考えたことではなく、“いいもの”の背景にあるのは、「人間というものは素晴らしい。その素晴らしい存在にふさわしいいいものをつくらなければ、素晴らしい本質を持った人間に対して失礼だ」という考え方なのです。“安く”も、「そんな素晴らしい人間に...

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