松下幸之助の言葉~人間大事の心
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自分を批判する人をむしろ重用し、相手の批判からも学ぶ
松下幸之助の言葉~人間大事の心(4)批判してくれる人は大事にせんとあかん
江口克彦(株式会社江口オフィス代表取締役社長 /元参議院議員/PHP総合研究所元社長)
松下幸之助の晩年23年間を秘書として仕え、PHP研究所社長を務めた江口克彦氏が、今の時代でも色あせない「経営の神様」の珠玉の言葉について語る。松下幸之助は、自分を批判する人をむしろ重用し、目の前で自分を批判してもらったという。それは一体なぜか。シリーズ講話第5回。
時間:10分54秒
収録日:2014年1月20日
追加日:2015年4月27日
≪全文≫

●自分を批判する人をむしろ重用した


 松下幸之助さんという人は面白いことに、自分を批判する人や問題点を指摘してくれる人を、むしろ重用し、自分の側に置き、呼びました。そして、自分に直すべきところがあれば、素直に聞き入れ、その身を正していこうとしました。

 大徳寺の立花大亀老師は、松下幸之助さんよりも六つか七つ下でしたが「松下くん、松下くん」と呼びました。これはいかがなものかと私は側で思っていたものです。

 これは余談ですが、佐藤栄作さんと松下幸之助さんがテレビで対談したことがありました。佐藤さんの方が何歳か若かったのですが、松下幸之助さんを「松下くん」と呼び、松下幸之助さんは佐藤さんを「佐藤さん」「佐藤総理」と呼んでいました。放送後、「松下幸之助さんの方が年上なのに失礼じゃないか。一国の総理であればこそ、松下さん、と言うべきだ」と佐藤さんへの批判の投書が届き、相当問題になったことがあります。


●老師はピタリと悪口や批判を口にしなくなった


 それはともかく、大亀老師は、戦後の大徳寺を再興した有名な人でした。福田赳夫さんなど歴代の総理とも親密で、松下幸之助さんとも親しくしていました。しかし、禅宗のお坊さんとはあのようなものかもしれませんが、口が悪く、「松下くんは、どうもこの頃・・・」などと、松下幸之助さんの批判をあちこちで話していたのです。

 まだ若かった私には非常に不愉快でした。また、批判は松下幸之助さんの耳にも入っていたのでしょう。あるとき、「君、今度、大亀さんと食事しようと思うんや。連絡を取ってくれ」と言われ、京都の真々庵で瓢亭のお弁当を取って設営したのですが、その時に「君も一緒に食べようや」と言われ、三人で食事をしました。

 私は少し離れて座り、大亀老師は上座、松下幸之助さんは下座でした。いろいろな雑談から入り、松下幸之助さんが「私もいろいろと商売をやっていますが、自分の気づかないところもありましてなあ」と言うと、大亀さんはその誘い水に乗って「そうですよ」と言い、「あんたはねぇ」と言い出しました。

 大亀さんの話は露骨で、「そんなことはないですよ!」と思わず口を挟みたくなるほどでしたが、私はそのような立場ではなく、我慢していました。しかし、松下幸之助さんは「そうですか、そうですか」と聞いているのです。大亀さんは全く方向違いのことを言って...

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