松下幸之助の人づくり≪2≫塾設立の究極の目的
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政治の良し悪しは、戦争の上手・下手よりも恐ろしい
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政治の良識を涵養するだけでなく、具体案をつくる
松下幸之助の人づくり≪2≫塾設立の究極の目的(1)国家経営かくあるべしと発表する
松下幸之助(パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者)
1979(昭和54)年、私財70億円を投じ、84歳にして、未来のリーダーを育成する松下政経塾を設立した、「経営の神様」こと松下幸之助。彼は、松下政経塾がこれからなすべきことに対してどのようなイメージを描いていたのか。(第2章1話目)
時間:9分29秒
収録日:2015年6月17日
追加日:2015年12月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●こういう社会をつくろう


 「こういう社会をつくるんだ。こういう世界をつくるんだ。そこの世界のリーダーになるんだ。そういう主体性に立ってやっていくんだ。そのためには、われは何をなすべきか」ということを考えてもらわなくてはいけない。


●未来をつくる


 松下政経塾は、そういういまだ生まれていない社会、いまだ形成されていない社会というものを理想的につくっていこうというわけです。創造していく。

 この政経塾は、政治・経済について一つの大きな創造者にならなくてはいけない。主体的にそういう世界をつくっていき、日本をつくっていく。だから、極めて大きな目的です。


●国家経営かくあるべしと発表する


 松下政経塾も、政経塾がこういう政治をするんだと、自ら政党をつくってやるのではないけれども、あくまでも塾であるけれども、塾の範囲は出ないけれども、塾の政治はこうあるべきであるという具体案をつくらなければいけない。それを塾で発表していくと。個々の政党は、そのいいところを採って、よりいい政党をつくったらいい。

 けれども、単なる政治の良識を勉強するだけではいけないということで、政経塾は政経塾の「国家経営というものはかくあるべし」であると。それは普遍的に「かくあるべし」ではなくて、「日本の国はかくあるべし」だと。こういうものをやらないといけない。

 そういう意味で、これからの勉強は、その方向に向かって進んでいく。だから、具体的な案をつくっていこうと思う。諸君を交え、諸君を参加させて、そして憲法はどうあるべきか、民主主義というものの議会はどうあるべきであるか、実際の政治の運営はこうあるべきだ、教育はどうあるべきである、ということを、いちいち具体案をつくっていく。

 その仕事をやって、5年間に、「しからば、あなたがやってみなさい」と言う人もいないだろうと思うけれども、いたら、「やってやる」と塾生が寄ってやったら、たちどころにできてしまう。

 政治の良識を涵養することをもって、まず松下政経塾の仕事だと思ったけれども、もう一歩進めて、政治の良識を涵養するだけでなく、もっと具体的に「政治はかくかくあるべき」という箇条書きをつくらないといけない。それを逐次発表していくことができるというのも、この塾の大きな仕事だと思う。

 それで、これからの塾のあり方は、諸君にそういう仕事や...

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