●戦後の荒廃からPHPへ
そういうことで、私は疑問を持ちました。人間というものに。そのとき、ふっと考えたのは、鳥がたくさん空を飛んでいて、それが皆、栄養満腹で、栄養失調がいない。中にはいるかもしれないけれど。空を飛ぶ鳥は腹一杯食べているのに、人間は、戦争に負けたとは言いながら、戦争が済んで、これから立ち直るという段階において、こんな姿ではいけない、これはどこかが間違っている、これは一度考え直さなければいけない、ということを考えました。
それで、人間は本来、繁栄であり、平和であり、それから幸福であること。これは、本来の人間の絶えざる願いであり、その三つには、誰一人反対する者はいない。この絶えざる願いが続いてきているにもかかわらず、時に戦争をし、時に騒動を起こし、時に人のものをとったりするというようなことが、その生活の基本方針になってしまうほど、国が荒れている。これは考えてみなければいけない、ということが日に日に強くなってきた。それで、そういうことを頭に浮かべたときに、人々にも話をしようと。それで、今の日本の再建は結構だけれども、再建の仕方に誤りがあると感じると。
それで、どこに過ちがあるかをお互い考えましょうと。そして、運動に名前を付けなければいけない。「繁栄を通じて平和と幸福を」という名前を付けましょうということで、“Peace and Happiness through Prosperity”の頭文字をとって「PHP」ということにして、「PHP運動に参加せよ」ということを話しました。それで、梅田の駅前で僕はビラを配りました。
戦後30年くらいになります。その間に日本の政治が良くなったかというと、物も増えてだんだんと繁栄している。そして復興しつつあるということは、一面ではいえます。しかし、他の面をみますと、復興は本当の復興ではない。復興に似たものであって、本質的には日本は困っている。今の政治が続いたならば、行き詰ってしまうと感じがするのです。
それで、これはやはり政治というものが一番大事であると思います。前の戦争に負けたのも政治のあり方が原因。やはり、政治が良い悪いということは、戦争が上手か下手ということよりももっと恐ろしい。だから、政治というものは、本当にいい政治をやらないといけません。それにはどうしたらいいか考えた。その思いがものすご...