松下幸之助を語る
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
仁王のような顔をして松下幸之助が言い放ったこと
第2話へ進む
人生が変わった松下幸之助からかけられた言葉
松下幸之助を語る(1)秘書から経営者への転身
江口克彦(株式会社江口オフィス代表取締役社長 /元参議院議員/PHP総合研究所元社長)
ある日突然、PHP研究所の経営引き継ぎを松下幸之助に打診されたと話すのは、幸之助の側近で参議院議員の江口克彦氏。一晩悩みに悩み、結局辞退する旨を告げた時、幸之助がかけた言葉とは──。幸之助の側にいて、誰よりもその人柄と経営哲学に通暁した江口氏の言葉から、松下幸之助という人物の本質が浮かび上がる。(全5話中1話目)
時間:9分28秒
収録日:2015年9月29日
追加日:2015年11月16日
≪全文≫

●松下幸之助本人から指名された経営職


 私は松下幸之助さんの側で23年間、経営者としては34年間、土曜日曜もなく、そして年末も休みなく働きました。休みといえば年始のたった2日間で、もう3日目には呼出しがかかって、松下幸之助さんと2人でおせちを食べるというのが毎年の習わしでした。そういうことで、松下幸之助さんの側で仕事してきましたので、いくつか松下幸之助さんの話はできるだろうと思っています。


 松下幸之助さんについては、いろいろありますが、今、思い出すのは、私が36歳のときにPHP研究所の経営をやれと松下幸之助さんに言われたことです。今でも覚えていますが、昭和51年の4月22日だったと思います。

 この時は、2人で東京に行っていました。東京から帰ってきて、私は家で一息ついていたところに電話がかかってきました。まさか松下幸之助さんとは思わなかった、さっき別れてきたばかりですから。それで電話に出たら松下幸之助さんで、「今日はどうだった、ああだった」と東京の話をひとしきりした後、「ところでな」と言って「君、明日からPHPの経営は君がやれや」と言われました。びっくりしました。だけれども私は、思わず「分かりました」と答えてしまったのですね。

 それまでの8年間、松下幸之助さんの側で、PHPの秘書として一緒に仕事をやっていて、使っていた用語はほとんど「はい」「なるほど」「へえ」「そうですか」の四つでしたから、思わず「分かりました」「はい」と返事をしてしまったのですね。それはそれで、電話が切れた後で考えてみたら、経営などやったこともないどころか考えたこともない。まだ36歳ですからね。秘書業務という仕事をやっていたというだけで、経理のことを考えたこともないし、営業のことを考えたこともないし、出版や研究について考えたこともなかったです。ただ松下幸之助さんの指示に沿ってやっていればいい、というだけでしたから。


●一晩の逡巡と辞退の申し出


 そんなことで、経営などやったことがない。できるかなと思って、やはり一晩考えましたね。寝ずにと言うとオーバーですが、一晩よくよく考えて悶々としながらながら翌朝起きて、これはできないなと思いました。

 京都の楓庵という旅館があります。真々庵というのはよく聞かれると思いますが、この真々庵はPHPで自分が思索をする場所、研究をする場...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ