松下幸之助を語る
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
チャーチルの演説に経営の心構えを学ぶ
松下幸之助を語る(5)自主独立の気概を持て
江口克彦(株式会社江口オフィス代表取締役社長 /元参議院議員/PHP総合研究所元社長)
かつて松下幸之助からPHP研究所の経営を任された江口克彦氏は、実質的に経営を支えていた松下電器からの「独立」を宣言する。その試みを後押ししたのは、「自主独立の気概を持て」という松下幸之助氏の哲学だった。各人の独立があってこそ、より強力な連携が生まれるのだと主張する江口氏が、現代日本で強まる依存心に警鐘を鳴らす。(全5話中最終話)
時間:10分07秒
収録日:2015年9月29日
追加日:2015年12月14日
≪全文≫

●日本人は「依存」ではなく、むしろ「独立」した存在


 余談になりますが、日本の音楽というものも日本画と同じです。交響曲のような、ヨーロッパのオーケストラの場合と比べるとですが、日本の鼓や琴、三味線というのは、音を聴いたら駄目だという人もいるのですね。では何を聴くかというと、鼓のその音と音の間の感覚を聴かなければいけない。これは、『ビルマの竪琴』を書いた竹山道雄という人の本の中に書いてあります。『日本人と美』という本だったかと思います。言ってみれば、芸術そのものも、聴く者が主体的に参加しなければいけないのです。主体的に入り込んでいかなければいけないということなのですね。

 ルース・ベネディクトの『菊と刀』という70年ほど前の本では、日本人はお互いに依存し合っているといわれていましたが、決してそうではありません。一人一人が、ずいぶんと独立した状態、主体性を持って自立した存在であるのが日本人だということはいえるのではないかと思います。


●PHP研究所を松下電器から「独立」させた


 いずれにしても、会社の経営をやっていくときでも、そういう主体性を持って、自主独立の気概を持って進めるということを考えていかないと、経営というものは成り立っていかない。私は(PHP研究所の)経営を始めて、それまでは9億円の売り上げのうち、80パーセント程度は、松下電器が全部買ってくれていたわけです。それでも赤字でした。それで私も、というよりほとんどの男性所員が、松下電器から出向だったので、松下電器から人件費が出ていたということになるわけです。

 ですが私がやり始めてから、赤字がすぐ消えました。松下幸之助さんに「わしの言う通りにやるんやったら、君はいらん」と言われたので、これはいけないと思ってすぐ対応して、なんと3カ月後に5000万円の利益を上げ、以降34年間で250億円の売上で8パーセントの利益をずっと上げ続けるという、そういう会社にしました。


●唯一かつ最大の援護だった松下幸之助の一言


 はじめは、松下電器が大体8割ほど買ってくれる、人件費も出してくれる、広告も宣伝部が出してくれる、そういう状態でした。それを私は、(経営を引き継いで)4年ぐらいしてから松下電器に行って、「もう新聞広告は出してもらわなくていいです」と伝えました。「PHPで広告を出します。給料も出してもらわ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ