松下幸之助の言葉~人間大事の心
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
社員育成、成果、次の事業―経営者の三つの責任
松下幸之助の言葉~人間大事の心(1)一人も解雇するな、1円も給料を下げるな(後編)
江口克彦(株式会社江口オフィス代表取締役社長 /元参議院議員/PHP総合研究所元社長)
1929年の世界恐慌の際、「一人も解雇するな、1円も給料を下げるな」と命じ、松下電器製作所の社員たちの雇用と給料を守った松下幸之助。経済の混迷が続く現在、経営者に求められる「三つの責任」とは何なのか。松下幸之助の側近中の側近・江口克彦氏が語る。シリーズ講話第1回(後編)。
時間:13分19秒
収録日:2014年1月20日
追加日:2015年4月7日
≪全文≫

●本当の日本的経営では、「人」が先に立つ


―― (松下幸之助さんの「人間大事」は)非常に大事ですね。当時は世界的な大不況のさなかで、社員の解雇も簡単にできた時代なのに、それをやらないというのはすごいですね。

江口 そうなのです。結局、松下幸之助さんがそれをすることによって、会社がどんどん大きくなっていきました。

 年功序列、終身雇用、企業内労働組合が日本的経営だと言われますが、これらは戦後のことです。戦前からの本当の日本的経営とは、“人を大事にする”ことが根本なのです。一方、アメリカ的経営とは“お金を大事にする”ことが先頭です。これが先頭に立つと、赤字になりかけたら、黒字を確保するために人を減らし、人件費を削って赤字を消していくというやり方になります。しかし、本当の日本的経営では人が先頭に立つので、“社員にいかにやる気を出させるか”という考え方になってくるのではないかと思います。

 ですから、事業部制に象徴されるような松下幸之助さんの経営のやり方とは、社員にいかに感動を与え、いかにやる気を起こさせるかということが根底にあったのではないかと思います。


●真の経営者は、常に「次のカード」を懐中にしている


―― 松下幸之助は本当に大した人ですね。その当時から“人間大事”を考えていたのですね。

江口 そうですね。事業を推進していけば、どうしても人が余ってくるものです。なぜかというと、例えば、100人で事業を始めて5、6年も経てば、50~60人くらいでできるようになります。それは当たり前のことで、われわれも、一つのことを修得すれば、最初は10時間かかっていたものが、5時間程度でできるようになります。ひと昔前ですとタイプライターが打てるようになったり、また今であればインターネットやパソコンもそうでしょう。最初はもたもたしていますが、慣れてくればいじれるようになります。それと同じことです。

 そうすると、40~50人が余ることになります。平成の経営者たちは、どうしてもお金を先行させますから、日本の経営は縮小していくのですが、余った40~50人を人員整理してしまいます。言ってみれば、リストラです。しかし、松下幸之助さんだけではなく、本田宗一郎さんや井深大さん、盛田昭夫さん、土光敏夫さんなど、昔の経営者は、余った人たちをリストラするかというと、しないのです。それは、松...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
プロティアン~最先端の自律的キャリア形成(1)変幻自在のキャリア論
なぜ第二の人生のためにキャリアの棚卸しが必要か~組織から自律へ
田中研之輔
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ