松下幸之助の言葉~人間大事の心
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松下幸之助の言葉~人間大事の心(3)「勝てば官軍」はあかんよ
江口克彦(株式会社江口オフィス代表取締役社長 /元参議院議員/PHP総合研究所元社長)
松下幸之助の晩年23年間を秘書として仕え、PHP研究所社長を務めた江口克彦氏が、今の時代でも色あせない「経営の神様」の珠玉の言葉について語る。PHP研究所で松下幸之助の秘書を務めていた江口克彦氏はある時、松下幸之助から「商売をやっているときに、勝てば官軍という考え方はあかんよ」と言われた。そこには松下幸之助のどのような想いがあったのか。シリーズ講話第3回。
時間:11分38秒
収録日:2014年1月20日
追加日:2015年4月21日
≪全文≫

●経営者の方と激しいやり取りをした


―― 松下幸之助さんは、“「勝てば官軍」はあかんよ”という生き方も貫きましたね。

江口 そうです。“「勝てば官軍」はあかんよ”ということについては、非常に印象深い話があります。まだ私がPHP研究所の経営に関わる前、PHPの秘書の時代に、松下幸之助さんと姻戚関係にある経営者の方と議論した時のことです。

 その方は、「経営者という仕事は非常に厳しい。経営は、とにかく利益を上げなければ駄目だ。法に触れなければ何をやってもよい。勝てば官軍だ」と言うのです。「法に触れなければよいのではなく、人間的な考え方で利益を上げることが必要ではないですか。やり方も十分に考える必要があるのではないですか」と私が言い返しても、「君は経営者ではないから甘いことを言うが、勝てば官軍でよいのだ」と考えを改めません。そこで再び私が「それは違うと思います」と反論する。松下幸之助さんが横たわるベッドの前で、そのような激しいやり取りをしたことがあります。

 ふと見ると、松下幸之助さんは目を閉じて、微動だにしません。寝ているのだと思い、「もうやめましょう。同じことの繰り返しですから」「そうしよう」と、経営者の方と私は静かに部屋を出たことを覚えています。


●自分は毅然として正しいことをやり抜かないと


江口 ところが、それから1カ月ほど経って、松下幸之助さんと雑談をしている時に、「君なあ、商売をやっているときに、勝てば官軍という考え方はあかんよ」と言われたのです。

 戦前、加藤大観さんという真言宗のお坊さんが、松下幸之助さんに惚れ込んで、松下幸之助さんの健康長寿と松下電器の発展を祈り、毎日勤行されていたそうです。松下幸之助さんも話し相手になってくれるのが嬉しく、いつも大観さんに側にいてもらっていました。

 ある時、過当競争、値下げ競争が業界で始まりました。他社がどんどん値下げをする中、松下幸之助さんは「原価を割ってまで過当競争をやれば、大企業が勝つに決まっている。そして中小企業がつぶれてから、大企業はまた値段を上げるのだ。そんなあくどいやり方は良くない。適正に利益を上げる経営や商売をしなければならない」という考え方で、値下げ競争には乗りませんでした。

 ところが、相手は一向に値下げをやめず、値段には差がつくばかりです。さすがの松下幸之助さんも、「だった...

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