松下幸之助の言葉~人間大事の心
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
目的とプロセスの両方を大事にしなければならない
松下幸之助の言葉~人間大事の心(3)「勝てば官軍」はあかんよ
江口克彦(株式会社江口オフィス代表取締役社長 /元参議院議員/PHP総合研究所元社長)
松下幸之助の晩年23年間を秘書として仕え、PHP研究所社長を務めた江口克彦氏が、今の時代でも色あせない「経営の神様」の珠玉の言葉について語る。PHP研究所で松下幸之助の秘書を務めていた江口克彦氏はある時、松下幸之助から「商売をやっているときに、勝てば官軍という考え方はあかんよ」と言われた。そこには松下幸之助のどのような想いがあったのか。シリーズ講話第3回。
時間:11分38秒
収録日:2014年1月20日
追加日:2015年4月21日
≪全文≫

●経営者の方と激しいやり取りをした


―― 松下幸之助さんは、“「勝てば官軍」はあかんよ”という生き方も貫きましたね。

江口 そうです。“「勝てば官軍」はあかんよ”ということについては、非常に印象深い話があります。まだ私がPHP研究所の経営に関わる前、PHPの秘書の時代に、松下幸之助さんと姻戚関係にある経営者の方と議論した時のことです。

 その方は、「経営者という仕事は非常に厳しい。経営は、とにかく利益を上げなければ駄目だ。法に触れなければ何をやってもよい。勝てば官軍だ」と言うのです。「法に触れなければよいのではなく、人間的な考え方で利益を上げることが必要ではないですか。やり方も十分に考える必要があるのではないですか」と私が言い返しても、「君は経営者ではないから甘いことを言うが、勝てば官軍でよいのだ」と考えを改めません。そこで再び私が「それは違うと思います」と反論する。松下幸之助さんが横たわるベッドの前で、そのような激しいやり取りをしたことがあります。

 ふと見ると、松下幸之助さんは目を閉じて、微動だにしません。寝ているのだと思い、「もうやめましょう。同じことの繰り返しですから」「そうしよう」と、経営者の方と私は静かに部屋を出たことを覚えています。


●自分は毅然として正しいことをやり抜かないと


江口 ところが、それから1カ月ほど経って、松下幸之助さんと雑談をしている時に、「君なあ、商売をやっているときに、勝てば官軍という考え方はあかんよ」と言われたのです。

 戦前、加藤大観さんという真言宗のお坊さんが、松下幸之助さんに惚れ込んで、松下幸之助さんの健康長寿と松下電器の発展を祈り、毎日勤行されていたそうです。松下幸之助さんも話し相手になってくれるのが嬉しく、いつも大観さんに側にいてもらっていました。

 ある時、過当競争、値下げ競争が業界で始まりました。他社がどんどん値下げをする中、松下幸之助さんは「原価を割ってまで過当競争をやれば、大企業が勝つに決まっている。そして中小企業がつぶれてから、大企業はまた値段を上げるのだ。そんなあくどいやり方は良くない。適正に利益を上げる経営や商売をしなければならない」という考え方で、値下げ競争には乗りませんでした。

 ところが、相手は一向に値下げをやめず、値段には差がつくばかりです。さすがの松下幸之助さんも、「だった...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏