●理想の政治~無税国家と新国土創成
しからば、どういう政治がいいか。世界中調べてみてどこの国の政治が一番いいか。一番いい政治があれば、それを取ってきてわれわれは勉強したらいい。けれど、それがなければ、その理想の政治形態というものをつくろうではないか。日本の伝統に基づいて、日本の特色に基づいて、こういう政治のあり方が一番いいと。日本では。そういうものをつくろうではないか。それをよく加味して、それで21世紀の政治のあり方はこういう状態だということを、発表していこう、全国民に訴えていこうということにしたらいい。こういうふうに思う。
税金のいらない国家、無税国家を考えようではないかという話をした。早い話が、国鉄で毎年1兆円も損している。国鉄で毎年40兆円もうけたら、税金はいらない。極めて簡単。
明治26年に、国家予算が、はっきりした数字は覚えていないけれども、その当時のお金で50万円、予算が余った。こんなに余ったからどうしたものか、ということになった。それで、その使い道を考えた。その時に、まあいろんな意見があったんだけれども、慶應義塾の創立者である福沢諭吉さんが、いろいろそんな難しいことを議論するよりも、その余った金をためておけと。たまった金で国を買えと、そんな提案をした。なぜ、そんなことを提案したかというと、その時分は、国を売買している。それでアメリカがちょうどアラスカを買ったでしょう。あれは金で買った。戦争で取ったのではない。
だから、あの当時は、国を売ったり買ったりしていた。日本もその金、余った金を債務分担しないで、県税にも振り回さないでためておけと。それでたまった金で国を買ったらいい。非常に単純な考え方。その当時の世界の情勢は、国を売ったり買ったりしている。そういうことが出ている。
だから、無税国家ということは、もしその通りにしていたらできる。その当時、50万円なら50万円余った。明治初年から予算を組んで、単年度制度にせずに、それで余剰金にしてやっていたら、たとえ1兆円なら1兆円を貯金していたら、今時分500兆円ぐらいの貯金ができている。そしたらもう税金を取らなくてもいける。500兆円あったならば、1割でまわせば50兆になる。そうすると40兆余りの予算だから、無税国家になる。今すぐにはならないけれども、今から百年なら百年の間に、そういう方針を立てたら、百年先には無税国家になる。だから、これはできるなと思っている。
それで、この塾で無税国家というものを考えて、それを塾の一つの研究の課題にしたい。こういうふうにすれば税金を取らずしていける。「無税国家」にはすぐできないけれども、無税国家にはできる可能性がある。それまでは減税の方へ方針を立てていく。これを一つ研究しよう。
それともう一つは、新国土創成する。今の日本の国は食料品が3割ほど輸入している。ただ米だけが余っているけれども、食料品全体からいくと足りない。だから約3割ほど輸入している。諸外国と交際して物々交換するものもあるし、また金を払って買うものもある。それが可能だから、われわれは安閑としているけれども、もう日本の国でつくったものだけしか食えないとなれば、もう直ちにお手上げだ、現在の日本では。
なぜそんなことになったかいうと、人が多くて国土が少ない、小さい。だから、日本の国土を倍にする。つまり、山が7割あるでしょう。山が7割必要かというと、山は7割も必要ではない。5割でいい。中には山のない国もある。
オランダのごときは、土地の大部分が海面より低い。それを皆埋め立てて、それで、土地を使っている。だからもう、広々としている。人口密度はオランダの方が小さい。そうだけれども、実際に使えるところいったら、山がないから全部使える。全部使ってみると向こうの方が広い。だから、僕はオランダに行ってびっくりしたのは、広々としている(ことだ)。それで、どうしてこのように広々としているのかといったら、それは山がないからだと。一番高い山は300メートル。それは山とはいえない。丘のようなもの、それをならしたら、そこに家を建てられる。それで1千年前から海面より低く、土地から海水が入ってきている。それで堤防を(岸から)遠くにつくって、埋め立てた。皆、人造の土地。そういうところで立派にやっている。
それで、何でそんなことをしたかといったら、千年ほど前の人が気がついて、こんな小さい国土ではいけないから、それで海を埋め立てて国土をつくる。ところが、山がないから埋め立てることできない。上に持ってくるのも大変。それで、海の土をすくい上げて、いろいろやった。いろいろ苦心して、それでやった。それが今日のオランダの国土になった。
日本は徳川家康が(埋め立てを)ちょっとやっ...