●日本を根本から見直す/1980年4月1日 入塾式
私は最近、「無税国家」と「税金がいらない国家にする」と、こう話している。これは必ずできます。どうしたらできるかということも、諸君の今後の研究の材料にしてもらう。そして、現在日本は根本的に検討し直すべき時代が来ている。そういうことを皆さんに話をして、皆さんが大いに「それはそうだ」という得心がいったならば、それをすぐにやってもらいたい。
●無税国家は必ずできる
将来の日本をどこの国よりも早く「無税国家」、ひいては進んで「剰余分配国家」にする。そのことが可能か、絶対不可能なのかということを研究材料に取り上げて、塾としては可能であると。この法を、道をもってすれば可能であるということを前提として、実現の具体案を作っていきたい。
政治の目的はいろいろあるけれども、いたずらに国費を使って国民を困難にしているという国もあれば、国費を少なくして立派な業績を上げている国もある。また、国家の経営すら困難で、国民が路頭に迷っているというような国もある。今、世界百数十カ国のうちに、飢餓にひんしている国もある。日本のような経済大国といわれるような国もある。さまざまな国がありますが、皆、原因とするところは、国民の心掛け次第である。国民の心掛けは、実は政治のいかんによると、こうなるわけで、日本で「無税国家」というものが大事だということを発表したならば、一人、日本だけではなくして、全世界に対して、いい意味の反響が起こるだろう。そういう具合になったら、この仕事は非常に意義の深いものになる。ぜひ松下政経塾でこの研究を完成して、国に採用履行してもらうということをやりたい。
その研究に諸君が当たってもらう。要するに、塾生諸君の協力によってその立案をする。非常にその成果として、貴い仕事だと思う。それを僕は絶対可能であると思う。僕の今までの社会生活は80年になる。その体験から推して、これは難しくはない、これは可能なことである。それを全国民が得心しないといけないから、全国民が得心するような方法をもって立案をしたならば、実行可能である。
それで、全員に分担してやってもらいたいと思う。この仕事の一端をやってもらうことが諸君の勉強にもなり、即政治改革にもなるから、非常に好都合だと思う。
今から30年ほどの前に、「月にわれわれ人間が...