ヒトの進化史と現代社会
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
人類の繁栄の理由は「他者の心を理解する高い認知能力」
第2話へ進む
人類進化史の事実!「人類みな兄弟」は生物学的に正しい
ヒトの進化史と現代社会(1)自然人類学でみるヒトの進化
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
地球誕生から現在までを1年のカレンダーにすると、私たちホモ・サピエンスが発生したのは12月31日の午後11時半頃だ、とよく言われる。そこまでのスケール感は持てなくても、現代社会が抱えるさまざまな問題に対して、人類の進化史から見た場合の見地はどうなるのだろう。自然人類学者で総合研究大学院大学副学長・長谷川眞理子氏にお話を伺う。(全4話中第1話目)。
時間:10分52秒
収録日:2015年12月14日
追加日:2016年3月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●ヒトを総合的に科学する「自然人類学」という学問


 総合研究大学院大学の長谷川眞理子です。今日は、私が専門としている人類(人間)の進化から考えたときに、今の私たちの暮らしや社会のあり方がどういうふうに見えるかということを話したいと思います。

 「自然人類学」という学問は、生物学の中で私たちヒトという生き物がどのように進化してきたのかを探る学問で、世界にいろいろな文化があることを調べる「文化人類学」とは違います。ヒトという動物である私たちの体や脳の働きが、どのような背景によって進化してきたのかを探る学問なのです。

 ですから、現在の私たちの体のつくりについての解剖学的なことをよく知らなくてはいけません。また、心の話になると、脳の働き方や脳と言語の関係などの認知科学や心理学方面のことも知る必要があります。さらに最近では、遺伝子の解析が非常に進んできました。私たちの遺伝子が過去の進化をどのようにとどめているのかについて、いろいろな生き物の遺伝子と比較すると、私たちがどこから来て、どういう生き物と近いのかということがよく分かるようになってきました。そのような全てのことを総合的に重ねて、ヒトを科学する。そのような感じで、「人類学」というものを捉えていただければと思います。


●チンパンジーとヒトは600万年前に分かれた


 私たちヒトを「ホモ・サピエンス」といいますが、ホモ・サピエンスはサルの仲間です。私たちはサルの中の「霊長類」に属し、チンパンジーやゴリラなど「大型類人猿」と呼ばれるグループに最も近い。そして、遺伝子で分かってきた事実によると、私たちと一番近いのはチンパンジーです。

 チンパンジーとヒトは、600万年ぐらい前に分かれました。それまでヒトとチンパンジーは同じ動物だったのですが、そこから別の道を歩み始めたのが600万年前なのです。さらにさかのぼると、900万年ぐらい前にゴリラが分かれました。さらにさかのぼると、1500万年ぐらい前にオランウータンが分かれました。さらにさかのぼって、2000万年ぐらい前になると、テナガザルが分かれています。

 図に描くと、このようになります。

 サルの仲間がいて、いろいろな共通祖先がおり、2000万年前にテナガザルが別の道を歩み始めます。その後には残りの動物たち(の共通祖先)がいたのですが、その中から150...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
老子の神髄(9)ウェルビーイングと東洋思想
ウェルビーイングを東洋思想でどう考えるか?…大事な二つの教え
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
中国春秋戦国時代と始皇帝(3)戦国時代初期――戦国七雄と合従連衡
戦国七雄とは?合従連衡とは?…各国の勢力拡大と小国家の運命
鶴間和幸
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ