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ラオスエリートの贅沢の裏に「地下経済」あり

メコン川の恵みとラオス経済(2)エリートたちの実態

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
概要・テキスト
shimada talks
ラオスを訪問した千葉商科大学学長・島田晴雄氏が、現地で出会った若手官僚や実業家とのエピソードを披瀝する。年間所得40万円でも高級車を乗り回す官僚、見かけほどラオスが低賃金ではないことを暴露し、事業展開を妨げる頑迷な政治指導者をなじる実業家たち・・・。彼らとの交流から、ラオス経済の「今」が見えてくる。(全4話中第2話目)
時間:13:48
収録日:2016/01/18
追加日:2016/04/04
カテゴリー:
≪全文≫

●ホテルで「共産主義」に出会った


 私たちは、ラオスに割と短い時間しかいられませんでしたが、タイから入ってラオスへ着くと、ラオスで一番良いと言われているホテルに泊まりました。翌日、宮本弘暁先生のお弟子さんたちがみんなホテルへ来てくれるというので、そこで勉強会をしようということになっていました。

 朝の光景には驚きました。ホテルに、緑色に近い軍服を着た人たちが何十人もいるのですね。さらにスーツを着た人たちが10人ぐらいいました。私どものグループの中に、この手の話にものすごく詳しい人間がいて、その人が言うには彼らは北朝鮮軍なのですね。彼は階級まで全部言い当てられるそうですが、それを見て「ああ、なるほど。やはりそういう国なのだな」と思いました。

 そのホテルには、素晴らしいスイミングプールがあります。私は、世界中の良いホテルで泳いだ経験がありますが、私の記憶ではこのプールの水が一番きれいでしたね。私は普段、眼鏡をかけて泳ぐのですが、眼鏡を忘れてしまったものですから、初めて裸眼で泳いだのです。でも、ほとんど問題ありませんでした。見たら、朝の5時ごろから2時間ぐらいかけてプールの水をきれいにしているのですね。そのプールで、午後や夜に一緒に泳いでいる人たちがいて、話す言葉は全部ロシア語でした。ロシアの軍人と実業家のようでした。やはり共産主義の国に来たのだなと思った印象があります。

 なぜかビエンチャンという場所は、夜が暗いのですね。本当に光が少ない。日本が東日本大震災の後で10日間ほど計画的に電気を消すようにしたことがありますが、あれくらいでしょうか。もっと暗いかもしれません。ところがラオスは、実はすごい電力王国なのですね。先ほど、ラオスの国土は山岳地帯が多いと言いました。そこにメコン川上流の水が流れ込んでいるので、水量が相当豊かなのです。そこにたくさんの発電所をつくって、電力を起こしています。国内の電力が水力発電だけで足りるかという質問をしたら、「とんでもない」と笑われてしまいました。発電している電力の9割は、輸出しているそうです。そういう特殊な国のですね。さらに、その電気を大量に買っているのはタイだそうです。


●若手官僚によるプレゼン


 参加したラオスの若手官僚は、最初は5~6人、後にまた人が加わって7~8人でした。財務省と産業省、それから産業計画省...
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