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ラオス発展の鍵は「企業内教育」と「ブランド化」にあり

メコン川の恵みとラオス経済(4)発展の現状と今後の課題

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
shimada talks
ラオス経済の課題は、人材教育と電力問題、そして地下経済にある。ラオス経済が今後発展していくためには、メコン川流域開発計画の一翼を担う存在として、小国なりの存在意義を見出さなければならない。千葉商科大学学長・島田晴雄氏が、今回のラオス訪問を総括し、その現状と課題を分かりやすく伝える。(全4話中最終話)
時間:16:38
収録日:2016/01/18
追加日:2016/04/18
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≪全文≫

●ラオス人は気質が良い


 最後に、私の感想をいくつかの点に分けてお話ししたいと思います。

 一つは、ラオスの人々の礼儀正しさ、それから寛容さや優しさです。ラオスの人は決して言葉を荒立てないのですね。一方、タイはすごいです。私はタイに何度も行っていますし今回もタイから行ったのですが、タイの人たちは同じ仏教国で、手を合わせて人前で挨拶をします。これはラオスも同じですが、タイはその代わりガーっと強く言いますし、相当強気な行動を取ります。

 そのために、ラオスの人は本当に押し込まれてしまうのですね。私は相当短気で、ホテルでもきついことを何度か言いましたが、「それはお客さんのせいでしょう」といったことは、一言も返ってきませんでした。「はい、分かりました。ちょっと時間はかかりますが、やります」と言う。おとなしいというか、そういう人たちなのですね。歴史的に見ると、タイやミャンマーに攻め込まれています。かつてのラーンサーン王国の領土は、3分の2がタイに取られていますから。にもかかわらず、小国で今日のここまで来たわけで、戦争のような荒立ったことはやらない国なのです。


●ラオスは「平和の配当」に包まれている


 2番目に申し上げたいのは、「平和の配当」がこの東南アジアを包んでいるということです。1964年のトンキン湾事件から73年まで、ベトナム戦争がありました。アメリカ軍は、枯葉作戦でベトナムを全て焼き払おうとしたほどの戦争です。ラオスも、その戦争で山岳地帯がほとんどやられて、ひどい目に遭いました。南のカンボジアでは、ポルポトが何百万人も殺す殺戮があったのです。

 東南アジアは、第二次世界大戦時に日本が進駐し、それを今度はフランスとイギリスが取り返して、ずっと戦闘が続くという状況にありました。戦後は冷戦構造の中にあり、ベトナムはずっとソ連の支援を得ていましたから、米軍が徹底的に攻撃しました。ラオスはまさに冷戦の被害者でした。結局、これらが終わるのが73年で、そこからラオスがようやく75年に独立します。

 80~90年代に入った後の25~30年ぐらいでしょうか。東南アジアは、平和で穏やかな時代が続いているのです。ここがASEAN諸国の中核ですから、いろいろな相違はあるでしょうが、この時に、皆さんで力を合わせ、国境を越えた交通網を展開し、電力もお互いにやり取りしてい...
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