モスクワ国際安全保障会議
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
難民がテロリストネットワークを利用しヨーロッパ入り!?
モスクワ国際安全保障会議(2)ロシアとシリア
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
テロリストが移民を利用しているだけでなく、移民もテロリストのネットワークを利用してヨーロッパに入り込んでいる――歴史学者・山内昌之氏は、第5回モスクワ国際安全保障会議でそのことを知ったという。ロシアはシリア情勢に大変詳しい国だ。そのロシアが、シリアとISについてどのように語ったのか。ラブロフ外務大臣の話を中心に、山内氏が明かす。(全4話中第2話)
時間:9分57秒
収録日:2016年5月9日
追加日:2016年6月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●ロシアは米ロ関係の緊張感を決して図らない


 皆さん、こんにちは。今回は、前回に引き続いて、4月27日、28日にロシアで開かれた「第5回モスクワ国際安全保障会議」に出席した私の印象と会議の内容をご紹介したいと思っています。

 ロシア政府はこの大会に力を入れており、セルゲイ・ショイグ国防大臣、セルゲイ・ラブロフ外務大臣、FSB(ロシア連邦保安庁)長官のアレクサンドル・ボルトニコフ大将などが国際テロ、安全保障に対する重要なメッセージを発していました。

 ラブロフ外務大臣も、もちろん基本的にはショイグ国防大臣と同じメッセージですが、外交官である分、独特な表現のあやがありました。いずれにしても、まず2人に共通するのは、ラブロフ外務大臣の表現を借りると、ロシアがシリア情勢に関して現実的に事態に対処している唯一の外国の当事者だと位置付けたことです。ラブロフ外務大臣は、シリア紛争でのロシアの態度は真剣そのものだと語り、シリア軍と協力していることも率直に認めました。そして、シリア政府と協力して行っているロシアの軍事干渉こそが、テロリストを屈服させ、敵対行為の停止に向けた環境を整えて、人道支援の供給、政治的正常化に向けたプロセスの開始をもたらすと主張したのです。その際、政治的正常化に向けたプロセスの開始は、もちろんアメリカとの協力関係の中でも可能だと述べ、ロシアは米ロ関係の緊張を決して強めないと強調した点に、ショイグ国防大臣と比べて、ラブロフ外務大臣の外務大臣たるゆえんがありました。

 その一方で、IS(イスラム国)に関しては、単なるテロの脅威というだけでなく、ISの存在、その冒険的な活動が各国主権の否定につながっていると述べ、ISは国際秩序の破壊分子であり、全ての国にとって許すことができないと、強い表現で批判していました。その上、一部で化学兵器を利用したことが報じられているように、化学的な知識や技術の高度化によって、ISがさらに危険な存在になる可能性が新たに浮上してきたと、ラブロフ外務大臣は述べています。

 それから、今起きている事態は、スンナ派対シーア派の闘争、すなわちサウジアラビアを軸とするアラブのスンナ派と、イランを軸とするシーア派、シリアのアラウィー派というシーア派分派による闘争という側面もあるけれども、一方では、10年来のイラン、シリア、イラク、リビア...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二