●有望資源コバルトリッチクラストの弱点
次は、コバルトリッチクラストです。マンガン団塊は団子のようになっているのですが、コバルトリッチクラストは、平頂海山という海山の中で平らな山頂になっているところにアスファルトのようにベターッと覆っているというように理解していただければいいかと思います。ですから、その性質、含有している金属、レアメタルとかレアアース、それはマンガン団塊と同じようなものがあります。
これは、白金の資源として非常に期待されているところがあるのです。しかし、研究は進んでいません。あとで申し上げる熱水鉱床と違って、ここは死の砂漠のようなものです。つまり、飛行場のようなところを研究しても、あまり面白くない。熱水鉱床は温泉地帯ですから、ここへ行くといろいろな面白いことや、アクティブなことがあって楽しい。ですから、科学者たちは、熱水鉱床には行きます。熱水鉱床という言い方はちょっとまずいかもしれません。熱水地帯と言ってもいいかもしれませんが。そこに行って研究をしています。しかし、この死の世界のような、あるいは飛行場の滑走路のようなコバルトリッチクラスト地帯には、あまり研究者がいないということが事実です。しかしながら、鉱物資源としては非常に期待されています。
●知りたいのは厚さ-計測の新技術を開発
これはそのサンプルの断面ですが、ここにアスファルトのようなものが見えていますね。10センチぐらいの厚さの黒いものがあります。これがコバルトリッチクラストです。下は母岩ですね。このコバルトリッチクラストがどのくらいの厚さかということが、とても重要です。それが鉱物資源の埋蔵量を決めますから。
しかし、この厚さを調査するのは、なかなか難しいのです。具体的には、ドリルで穴を空けてこの厚さを測るという、力学的なやり方でしかなかなかできませんでした。そこで、われわれが何をしていたかというと、実はこれに関していろいろな研究をしてるいるのですが、音波を上から出すと、この表面で反射する音と、この中間、母岩とコバルトリッチクラストの間で反射する音が返ってきますね。そうすると、この厚さ分だけ時間差ができます。その時間差を測って、なんとかこの厚さを非接触で測るのです。皆さん方がお腹をグリグリ超音波でやると、結石がたまっているのが分かったりしますが、あれと同じような原...