中東協力現地会議
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シリア戦争の停戦合意が失敗!一番の解決策はアサド退陣?
中東協力現地会議(1)シリア戦争の行方と分割の危険性
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
歴史学者・山内昌之氏が、2016年9月25日にドバイで行われた中東協力現地会議での基調講演について解説する。山内氏はまず、大きく変化した中東の地政学的観点から、中東の現在と今後を読み解く8つの要素を挙げる。今回は1つ目の「シリア問題」についてで、シリアの再建は他国による複雑な軍事介入によって困難を極めているという。(シリーズ第1話目)
時間:10分47秒
収録日:2016年9月28日
追加日:2016年10月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●中東協力現地会議での基調講演を頼まれドバイへ


 皆さん、こんにちは。

 先週(2016年9月第4週)の週末から日曜日にかけて、アラブ首長国連邦のドバイに行き、帰りはアブダビ経由で戻ってきました。9月25日にドバイで「中東協力現地会議」という集まりが行われたのですが、そこには400名以上の参加者がおりました。中東協力現地会議は官民合同の、中東情勢に関わる分析、あるいは最新情報の交換などを目的とするもので、日本の経済産業省の肝いりで中東協力センターが主催し、そこに在中東の日本国大使をはじめ、商社、製造業ほか各種産業の現地代表者や現地法人の社長の方々が参加するという集まりでした。

 私は初日の基調講演を頼まれて、出かけていきました。そこで、いくつかの問題について改めて、つぶさに整理する機会がありましたので、今日は皆さまに、ドバイで私が話してきたこと、考えてきたことについて、少しお話ししたいと思います。


●中東を地政学的観点から8つの要素で考える


 まず、中東の地政学(geopolitics)、戦略地政学(geostrategy)が大きく変わっているということが、全ての参加者の問題関心でしたが、なかんずく私はそれを8つの要素に分けて考えることが適当ではないかと、提議しました。

 1番目はシリア戦争の行方とシリア分割の危険性、もしくは可能性です。2番目はクルドの民族問題と独立国家化の可能性です。3番目はクーデター未遂事件が起こったトルコにおけるその後の厳しい内部粛清の進行と、トルコ民主主義の試練について。4番目は「ビジョン2030年」を出し、国家の未来について基本的な見方を打ち出したサウジアラビアと、そのビジョン2030年の行方、そして王位継承に関わる政治的な安定性の問題です。5番目はイランの対米関係、ひいてはシリア戦争への過剰な関与をイランが今後どのように解決するのか、という問題です。6番目としては、ユダヤ人国家イスラエルの変質、あるいは国際関係における孤立状況です。7番目は、エジプトをはじめとするスンナ派アラブ国家の弱体化という問題ですが、今それが顕著になっています。最後は、最近の日本のみならず、国際関係においても全体としてあまり聞くことがなくなってきた「中東和平」という問題。すなわちパレスチナ問題の公平、かつ安定した解決を目指した中東和平の将来が暗くなっているという現実についてです。


●シリ...


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