古代ローマ人に学ぶ~ローマ史講座Ⅱ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
カエサルの寛容―「敵を許す」ローマ人の精神性
古代ローマ人に学ぶ~ローマ史講座Ⅱ(5)カエサルの寛容を現代に生かす
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ローマの「自由と寛容」のうち、「カエサルの寛容」と呼ばれる精神はローマ人の精神性をよく表す。内乱の一世紀に生まれ、内外の戦闘・政争に勝ち続けたカエサルは、どのようなリーダーだったのか。古代ローマ史を専門とする東京大学名誉教授・本村凌二氏に伺った。(全5話中第5話)
時間:11分29秒
収録日:2016年10月20日
追加日:2017年2月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●内乱の世紀に発揮された「カエサルの寛容」


 ローマの寛容さ(クレメンティア、clementia)は、「カエサルの寛容(Clementia Caesaris)」という言葉でよく表されるように、カエサルによって特に象徴されます。

 カエサルの時代、敵には2種類ありました。一つは『ガリア戦記』に象徴される外敵です。ガリアは現在のフランスで、ローマ軍はそこまで遠征を行い、8年ほどの期間を費やして戦った挙句、征服を遂げています。もちろんカエサルは、戦地ではかなり残虐なことも行っていますが、敵側が恭順の意を示したり、「これ以上は抵抗しない」と降伏してきたりすると、意外なほど残虐な行為には出なかったのです。

 それは、国内においても同じでした。カエサルの時代は「内乱の一世紀」と呼ばれるぐらいで、ローマ中が民衆派と閥族派に分かれて戦いました。共和政500年の最後の約100年間、内部における権力闘争はそれほど激しくなったのです。皆さんもよくご存じのように、民衆派の代表であるカエサルが最後に敵対したのが、ポンペイウスら閥族派という貴族派の代表でした。

 ローマ市民同士である彼らの間に、血を見る争いへと発展する事態が何度も勃発する中、カエサルは敵対する閥族派に対しても、よく「カエサルの寛容」を発揮しました。こうした戦いに勝った彼は敗者に対する措置として、かなりの割合で許しを与えています。それどころか、戦った相手を非常に高い官職に就かせることもあり、自分が打ち破った相手への処罰や処刑はほとんど行っていませんでした。


●「Et tu Brute(ブルトゥス、お前もか)」が出てきた理由


 その典型がブルトゥス(ブルータス)という男です。彼はカエサルの愛人の子どもだったといわれます。一説には直接的にカエサルの子だったとする人もいますが、カエサルとブルトゥスの年齢差は15~6歳ですから、年齢的に考えて無理ではないかと思います。ともあれ、愛人の息子であったのは確かなことで、カエサルは幼い頃から彼をよく知っていたのです。

 ところが、ブルトゥスはカエサルの立場を支持せず、彼を「独裁者になる危険を持つ人物」と見る側に立ちます。これはポンペイウス派の考えで、共和政の伝統を守ろうとしたということです。ただ、共和政はカエサル側から見ると、500年間続いてきたけれども、「もはや大帝国になった国家を治めきれない」システムだったのです。つ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(1)厚木飛行場に降り立った占領者
敗戦した日本の武装解除はなぜ無血だったか…その背景とは
島田晴雄
オスマン帝国とは何か~その繁栄と共生の秘密~
オスマン帝国とは何か?その繁栄の理由
山内昌之
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(8)『オデュッセイア』の世界的影響
オデュッセイアが物語のフォーマット?…アラビアンナイトから百合若物語、ひまわりまで
松村一男
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎