古代ローマ人に学ぶ~ローマ史講座Ⅱ
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「父祖の遺風」は古代ローマ人が常に大事にした行動基準
古代ローマ人に学ぶ~ローマ史講座Ⅱ(2)「父祖の遺風」と子育て
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
東京大学名誉教授・本村凌二氏が、われわれ現在人の行動や思考のヒントを得るために、古代ローマ帝国とローマ人の特性について分析・解説する。今回取り上げるのは、ローマ人がその行動基準として非常に重視していた「父祖の遺風」についてである。(全5話中第2話)
時間:11分00秒
収録日:2016年10月20日
追加日:2017年1月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●ローマ人の行動基準となった「父祖の遺風」


 ローマが強大な国家になっていくという中で、ローマの国政としては共和政期といわれる紀元前500年ほどの間の話をしています。その中で、ローマ人の行動規範、つまり彼らがどういうところに行動の基準を置いていたのかということを考えていくとき、ローマ人は” mos majorum”(モス マイヨールム)と呼びましたけれども、いわゆる「父祖の遺風」が彼らにとっては非常に大事であったのです。

 それはどういうことかというと、父祖ですから自分の父親、あるいは祖先に関わることになります。よく現代では、2世や3世が出てくると、「もう2世だから駄目だ」とか「3世だから駄目だ」という話があります。政治家はもちろんのこと、会社の経営においても、「2世まではいいけれど3世になると、ろくなのはいない」などという話が日常茶飯事で聞かれます。

 しかしそんなことを言ったら、ローマの元老院には、何世がいるか分からないほど連綿と続いている議員の人たちがいたわけです。彼らは2世、3世だから駄目だったということはあまり聞かれません。ローマ人は常に、父祖の遺風というものを大事にしました。それは、かつての人たちの行動や考え方を大事にしたというだけではなく、それに負けないようにしたのです。つまり、父祖の遺風の要になることは、自分たちの祖先に恥ずかしくないようにする、それに勝るものを成さなければいけないという意識が、ローマ人にはどうも強かったように思います。


●「父祖に恥じないように」という意識を育てる


 そういう意識は、例えばギリシャ人にはなかったのかというと、決してそうではないと思います。しかし、ローマ人は、ことさらそういう意識をいわば制度なり風習の中で培っていく、育んでいく、社会のしきたりといったものが前から続いていたところがあるのです。

 例えば、葬儀のときなどに、単に故人だけではなく、その祖父、曽祖父、あるいは家族の中で何代も前の優れた人たちの話を、繰り返し繰り返し聞かせます。小さいときからそういう中で育ってきますから、自分の中にそうした父祖の立派な行いというものが自然と身に付いていくのです。そして、それに恥じない、あるいはそれに勝る行いをしようという意識が、ローマ人には人一倍強かったのではないかと思われます。


●ローマの伝統を重んじた国粋主義者カトー


 父...

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