●日本外交を理解するための大事な三つの質問
今、日本の外交は、大きく変わろうとしていると思います。
どのように変わろうとしているのか。どうして変わろうとしているのか。その結果、例えば日米同盟はどうなるのか。中国との関係どうなるのか。そのようなことが今、話題になっています。
私は、次の三つの質問に対して、自分に納得できる答えを出すことができたら、今の日本の外交のほとんど全て分かると思います。
一番目の質問は、今の外交路線を決めるのに、 安倍さんが総理大臣であるということがどれほど重要なファクターであるか。要するに、「安倍ファクター」はどれほど重要であるか、ということ。
二番目の質問は、今の東アジアの環境の中で、日米同盟を維持するための課題は何であるか。言い換えれば、日米同盟を維持するための挑戦、チャレンジにおいて、難しい問題は何なのか、ということ。
三番目の質問は、今、中国は日米同盟をどう見ているか。つまり、中国は、日米同盟に対してどういう戦略で対応しようとしているのか、ということ。
これらが、おそらく今の日本外交を理解するための一番大事な質問だと思います。
●日本の外交路線を変えさせているのは、国際環境の変化によるもの
それでは、一番目の「安倍ファクター」について、お話しします。
まず防衛予算が増えます。また集団的自衛権の憲法解釈については、限定された変化ですが、解釈を変えるということや、日米同盟の中で日本がより大きな役割を果たせるような集団的自衛権を認めるということなど、いろいろな動きがあります。しかし、「安倍晋三さんが総理大臣になったからこうなっているのか」という質問に対しては、私はほとんどノーだと思っています。誰が総理大臣であっても、基本路線はそれほど大きく変わりません。
前総理の民主党・野田佳彦さんは、誰を防衛大臣にしたかというと、森本敏さんという人で、彼は、自民党の中の、どちらかと言えば、右派の人たちの防衛と外交のアドバイザーをずっとしていた人です。 前原誠司さんも集団的自衛権を認めるべきだという意見です。多分、野田さんも同じ意見だろうし、もしも今、野田政権で経済が少しよくなっていたならば、おそらく防衛予算を増やしたはずです。
民主党のときに「動的防衛」という言葉が使われました。もっと積極的で、今までとは違った、いろいろな新しい防衛のための...