キリスト教とは何か~愛と赦しといのち
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
キリスト教では、神への愛と隣人愛は等しいものである
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(4)「隣人愛」とはどういうことか
竹内修一(上智大学神学部教授/カトリック司祭(イエズス会))
「隣人愛」は、キリスト教を知る上での重要なキーワードだ。これについて、イエスは何と言っているか。上智大学神学部教授・竹内修一氏はここで、イエスとファリサイ派律法学者の問答を紹介する。エリート学者の挑発的な問いかけに、イエスは何と答えたのか。またそれを、私たちはどのように理解すべきか。竹内氏が解説する。(全6話中第4話)
時間:10分44秒
収録日:2016年12月26日
追加日:2017年3月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●パウロが語る、キリスト教の愛


 次に、先ほどから出てきているパウロという人物ついて触れたいと思います。彼は最初、キリスト教徒を迫害するリーダーでした。しかし彼は、ある時に劇的な体験をします。これを「パウロの回心」と言います。今は詳しく語りませんが、どういうことだったかと言うと、迫害していたイエス・キリストが復活した後、そのキリストと出会ってしまうというものです。このパウロの不思議な体験について、「使徒言行録」という書物の中には3回書かれています。

 これは彼が勝手に作った話なのではなく、消すことのできない根源的な体験であったということであり、この体験を通じて彼の回心が生まれます。「コンバージョン」が生まれるわけです。そのパウロがいろいろなところで愛について語ります。彼は繰り返し、信仰、希望、愛の重要性を説きます。そう説きながら、「愛こそがその中で最も大切なものであり、律法の完成である」、あるいは「あらゆる徳は、この愛のさまざまな具体的なかたちとして理解される」と語ります。

 有名な「コリント人への第一の手紙」13章は、よく「愛の讃歌」と言われますが、そこでは次のように記されています。

 「たとえ、山を動かすほどの完全な信仰を持っていようとも、愛がなければ、無に等しい。……愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。愛は決して滅びない」。

 たとえ山を動かすほどの大きな信仰があったとしても、もしそこに愛がなければ無に等しいと言い切ります。どんなに深い、あるいは強い信仰があったとしても、それが愛から出てこないならば、意味がない。こういうことを彼は大胆に語りました。


●愛とは、忍耐である


 私が読み上げたところで、パウロは愛のリスト、愛の定義を語ります。「コリント人への第一の手紙」が面白いなと思うのは、彼が「愛とは何々である」と最初に語るとき、「愛は忍耐強い」という言葉を使っていることです。英語に翻訳すると、love is patientとなります。「愛は忍耐だ」ということは、私たちが普段の生活の中で耳にしたり目にしたりする、ロマンチックなものだけではないことを示します。愛がロマンチックなものであるこ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理

人気の講義ランキングTOP10
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政