進化生物学から見た少子化問題
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
確実になった「避妊」が少子化に与えた影響
進化生物学から見た少子化問題(3)避妊と時間割引
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
「自分たちの意志でかなり確実に避妊できるようになったことが、先進国の少子化の原因ではないか」と語るのは総合研究大学院大学理事で先導科学研究科教授の長谷川眞理子氏だ。長谷川氏が、児童虐待・嬰児殺しと同じ枠の中で「少子化問題」について考える。(全5話中第3話)
時間:15分20秒
収録日:2017年1月16日
追加日:2017年3月24日
≪全文≫

●近代以降、考え方が変わって嬰児殺は減ってきた


 長谷川眞理子です。今回は、今まで話してきたヒトの子育てに関する繁殖戦略を包括的に考え、児童虐待・嬰児殺しと同じ枠の中で「少子化問題」について考えてみようと思います。

 ここまでに、ヒトが共同繁殖でなければ子育てできないこと、また文化が共同の子育てを容認するときには、どのような家族形態から生まれた子なのかを重視していることをお話ししてきました。つまり、ヒトは単に食料や親自身のエネルギー、資源がきちんとあるだけでは子育てできず、みんなの協力が必要だということです。そして、親が周囲から協力を得るためには、その文化で認められている正統な子どもでなくてはなりません。文化規範から外れた子ども、つまり父親が誰か分からないとか、未婚の母であるとか、不倫の子である、といった子どもたちは排除されてしまいます。みんなで努力して子育てしましょうという範疇に入らないのです。

 文化は、そうして正統な子どもとそうでない子どもを振り分けてきました。従来は、そうやって地域で協力しなくては何ともならなかったので、不倫はいけないといったことが慣習化・規範化され、その慣習・規範から外れた子どもは母親が殺しても仕方がないという考え方があったのです。

 しかし、現代社会になって個人の自由が高まり、お金を出せば、食料などの資源だけでなく、保育所その他の共同繁殖のための社会インフラも手に入れられるようになったため、昔の社会規範で子どもの存在を差別することは少なくなってきました。とはいえ、今でも相続などのとき、嫡出子かそうでないかで細かな差別があるのは、社会が認めた子どもは皆で支えるけれど、そうでない子どもは支えたくないという昔の名残があるからだと思います。

 一方、父親が誰か分からなくても、未婚の母でも、不倫の子であっても、子ども自身にはまったく責任がないため、生まれてきた子どもは皆、社会で支えるようにしましょうというのが、近現代の法的な考え方です。近代以降、そうした考え方に変わってきたために、嬰児殺の数は本当に減ってきましたし、社会が許容しない子どもも随分なくなってきています。


●子どもがいないときに子育てを直観的に理解する能力はない


 そうした背景の中で「少子化」をどう考えるか。私も考えが全部まとまっているわけではありませんが、現時...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
もっと知りたいイヌのこと(1)イヌの歴史を振り返る
オオカミはいつイヌになったか…犬の起源と家畜化の歴史
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博