トランプ政権と今後の世界情勢
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
トランプ大統領の登場で中国の脅威は弱まる?
トランプ政権と今後の世界情勢(3)中国が見せた新動向
白石隆(公立大学法人熊本県立大学 第3代理事長/国際政治学者)
トランプ大統領の登場は、当初思われたほど米中関係を緊張させていない。また南シナ海問題も、現状凍結で推移している。立命館大学特別招聘教授でジェトロ・アジア経済研究所長の白石隆氏は、アジアにおける中国の脅威はしばらく後退するだろうと見る。では今後、アジア地域の連携はどうなるか。そこで日本はどのように振る舞うべきなのか。(全5話中第3話)
時間:14分16秒
収録日:2017年2月16日
追加日:2017年4月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●習近平政権の外交動向


「一つの中国」をトランプ大統領も一応は認めましたので、これによって最初からものすごく米中が衝突して緊張が激化することはなくなると思います。また。台湾が米中のディール(交渉)の駒になることも、どうもなさそうです。これは一安心ですね。

 私は正直に言って、蔡英文総統では本当に心配でした。確かにあの人は、何も言わずにじっと我慢していて大変な人だとは思いますが、いずれにしても一番の懸案はとりあえず収まりそうです。

 ただそれは、別に米中の関係が良くなるということではありません。ここから本当のディールが始まります。そのディールの1つ目はもちろん通商ですが、2つ目が北朝鮮、3つ目にサイバー・セキュリティーの問題だと、私は思っています。どれもなかなか難しい問題です。

 その交渉がどのぐらいできるのか。ワシントンにいる私の知り合いなどは、来週から始まっても不思議はないと言っています。もうすぐこの方向で、何らかの動きが出てくるようだとも言います。

 中国は、昨年(2016年)11月にフィリピンのドゥテルテ大統領が習近平国家主席と会談しました。私が聞いたところでは、南シナ海について、習近平主席ははっきりとしたコミットメントこそしていないそうですが、現状凍結にするという提案をドゥテルテ大統領がして、そして現状ではそうなっています。スプラトリーの人工島建設と軍事化はとりあえず凍結されています。また皆が最も関心を持っているスカボロー礁の人工島建設もまったく始まっていません。

 とりあえず、こういう現状凍結状態が続いており、しかも中国政府は、南シナ海における例の「行動規範」(の作成)もずっとさぼっています。時間をかけて何もしないでおいて、その間に既成事実を積み重ねていく。これが中国のやり方でしたが、これをもう今年(2017年)中にはまとめてしまおうという動きがあるのです。

 RCEP(東アジア地域包括的経済連携)についても、習近平主席がこの前のダボス会議(2017年1月)で「自由貿易」だと言いました。言ったからには公約を実現しなければいけません。これも私の推測ですが、質はどうあれ、ともかくまとめてしまおうとするのではないでしょうか。


●中国がひとまず脅威ではなくなる可能性がある


 となると意外にも、中国がこの地域で脅威ではなくなる可能性が、当面のところ出てきたと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
逆境に対峙する哲学(3)修行・物語・語りの転換
武士道に学ぶ自己訓育――幻想としての順境に抗するために
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
武田俊太郎