トランプ政権と今後の世界情勢
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
政権交代時の混乱にみるトランプとレーガンの類似点
第2話へ進む
レーガン政権以降のアメリカの「グローバル化戦略」
トランプ政権と今後の世界情勢(1)米歴代政権という鏡
白石隆(公立大学法人熊本県立大学 第3代理事長/国際政治学者)
2017年に発足したアメリカのトランプ政権では、相次ぐ大統領令や重要ポストの人事をめぐる混乱が続いている。このトランプ政権発足で、日本や中国などのアジア、そして世界の情勢はどうなっていくのか。立命館大学特別招聘教授でジェトロ・アジア経済研究所長の白石隆氏が、トランプ政権と今後の世界情勢について語った。(全5話中第1話)
時間:7分41秒
収録日:2017年2月16日
追加日:2017年4月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●現在進めている研究


 今、(『オンリーイエスタディ』という)原稿を原稿用紙600枚分ほど書き進めたのですが、これがどうなるか。多分、2,000枚ぐらいの大きい本になるのではないかと思います。

 ただ、ひょっとすると全部は終わらないかもしれません。そして、どういう形で発表するのかも問題です。1冊の本にまとめて出すのがいいか、それとも新書か何かで3分冊にして出すのがいいか。今は本当に雑誌という媒体が危機的状況なので、なかなか連載にするのは難しいと思うのですが、気持ちとしてはどこかで連載できないかということを考えています。

 というのも、今進めている原稿を実際に全部まとめるとなると、早くてもおそらく3~4年ぐらいかかります。(新たな資料を)どんどん読んでいますから。当たり前のことですが、本を書くために調べ始めると、きりがありません。ある意味では、その作業が一番楽しいのですが。ですので、完成にはまだ数年はかかるでしょう。


●レーガン政権以降のアジア政策


 その原稿の第2章では、アメリカのアジア政策を扱っています。ここで、レーガン政権からクリントン政権までの変遷を見ており、大きく分けると二つのセクションがあります。

 一つ目のセクションは、レーガン政権、父ブッシュ(ジョージ・H・W・ブッシュ)政権、それからクリントン政権で、ホワイトハウスの運営がどう行われたかについてです。各政権で政策の優先順位はおのずと決まっていきます。何が戦略上大きく、優先順の高い課題だったか。またこの時期、冷戦が終わりますが、それによって政権運営がどのように変わってくるのか。その人物と大戦略の変化を描くのが、最初の部分です。

 後半はそれを踏まえて展開されます。特にレーガン政権以降は、グローバル化戦略、つまりグローバル化が大きな政策目標になります。グローバル化こそ、アメリカにとっての利益であり、世界にとっても良い、という理解の下に、さまざまなグローバル化を推し進める政策を取ります。私はそれを、「グローバル化戦略」と呼んでいます。

 大きく分けると、国境を越えた資本の移動の自由化、そして貿易の自由化、さらに民主主義支援、この三つです。それらをどうやって進めたのか。

 このグローバル化戦略の中で、対中政策および対日政策がどういうものとして出てきたのか。この点をずっと調べていくと、別に意図した...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎