トランプ政権と今後の世界情勢
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プラザ合意もアメリカのグローバル化戦略の一部
トランプ政権と今後の世界情勢(5)面で見る外交戦略
白石隆(熊本県立大学特別栄誉教授)
プラザ合意は、日本経済にとっては非常に大きな転換点だったとされるが、立命館大学特別招聘教授でジェトロ・アジア経済研究所長の白石隆氏は、それも結局はアメリカのグローバル化戦略の一部であったにすぎないと見る。全体的な影響を考慮するため、アメリカの政策担当者は外交を「面」で捉えている。かつて宮澤喜一元首相も「面」で捉えており、その視野の深さは、クリントン元大統領も一目置くほどだった。(全5話中第5話)
時間:10分39秒
収録日:2017年2月16日
追加日:2017年4月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●プラザ合意の意義は、日本とアメリカで食い違う


 日本から見ると、プラザ合意は間違いなく大きな転換点だと思います。ただ、同じことをアメリカの方から見ると、いくつもの転換点のうちの一つなのです。

 どういうことか。例えばアジアだけについていえば、繰り返しになりますが、レーガン政権の時代に、いわゆるグローバル化戦略が始まりました。ただ、実際に始まったのは、レーガン政権の2期目です。

 しかし国境を越えた資本移動は、レーガン政権の1期目、まだドナルド・リーガン氏が財務長官の時に円・ドル委員会をやり、ここで始まるのです。だから日本が資本自由化を始めるのは、円・ドル委員会以降です。

 そもそも日本も自由化をやる気でした。それをやろうというので、円・ドル委員会を使って準備してやったのです。だから、自由化自体に特に難しいことはなかったけれども、始まりこそはここだった、ということを、当時の大蔵省の人たちが何人か書いています。その次がプラザ合意です。


●大きな流れは、アメリカのグローバル化戦略


 これをもう少し大きな流れの中でいうと、例えば当時ヨーロッパはECで、ECの中でやはり資本移動の自由化が、同じ時期に始まります。そういう流れの中で、プラザ合意は起こります。

 さらに通商の自由化です。アメリカとカナダのFTAは、このレーガン時代に始まります。ウルグアイ・ラウンドもレーガン時代のものです。そういう中、日本は日米経済摩擦で七転八倒していたなどといいますが、結局はこのウルグアイ・ラウンドがまとまることで、日米経済摩擦もこの流れに処理されるものになるのです。

 最後に人権や民主化支援ですが、アジアの場合、1986年にフィリピンの革命があります。これでコリー(コラソン)・アキノ氏が大統領になりますが、これが一番大きくことで、その次が1987年の韓国の民主化です。全部、だいたい同時に起こります。

 だいたい1984~1985年頃から、通貨でも通商でも人権でも民主化でも、全部始まるのです。ただ日本の場合には、民主化支援などということは関係ありませんでした。ウルグアイ・ラウンドも、「東京ラウンドが終わって、今度はウルグアイ・ラウンドが始まったね。それならやろう」というくらいの意識だったと思います。むしろ日米経済摩擦の方がはるかに忙しい。アメリカの方から見ると、これは全部(グローバル化戦略が...

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