トランプ政権と今後の世界情勢
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
防衛予算の問題は増額分をどう活用するか
トランプ政権と今後の世界情勢(4)今後の日本・中国情勢
白石隆(公立大学法人熊本県立大学 第3代理事長/国際政治学者)
立命館大学特別招聘教授でジェトロ・アジア経済研究所長の白石隆氏は、トランプ政権の発足で遠からず防衛努力の強化が求められると見る。そこで問題となるのは、増額された分をどう活用するかだ。単なる「高い買い物」で終わらせるのではなく、民生転用も視野に入れた技術革新につなげるべきだと、白石氏は強調する。(全5話中第4話)
時間:7分23秒
収録日:2017年2月16日
追加日:2017年4月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本の防衛努力強化をいかに行うか


 トランプ新政権に対して、安倍晋三総理はとりあえずのところ、非常にうまく関係をマネジメントしたと思いますが、やはりもう少し日本も「防衛努力をしろ」ということになるのは、遠からずほぼ確実だと思います。

 今の日本の防衛予算は年間5兆円ほどですが、前年比で約0.8パーセント増だと多分説得力がないのです。前年比4~5パーセント増ほどだと考えると、4パーセントで2,000億円で、5パーセントで2,500億です。F35だと1機185億円ぐらいですから、だいたい10機買うと予算がなくなってしまいます。

 それとも、半分ぐらいは防衛装備の共同開発に使うのか。あるいは残りの半分をサイバー・セキュリティーに使い、それこそNational Security Agency(国家安全保障局)のようなものをつくることなどが考えられます。今は、そういうところに差し掛かってきているのでしょう。それをやるためには、今の技術革命を本当にきちんと理解した、個人ではなくグループが必要だと思います。

 もし安全保障の領域でそういうことをやるのなら、必要なのは軍事研究ではないと私は思います。それはむしろ民生用にも使えるようなところでしょう。そう考えると、例えば、半分の1,000億円をどう使うのか。アメリカでいうと、DARPA(国防高等研究計画局)のようなものを、どう作って運用していくのか。National Security Agencyをつくるとすれば、そのタイプのことが分かっている人に、どうやってそれをつくらせていくのか。ある意味で今、その非常に重要な機会に差し掛かっているのではないかと思います。


●科学技術を見通した人材の優遇が必要


 すでに日本は、(戦闘機を)国内で調達するよりもアメリカから買ってくる方が大きいわけです。ここでまた1,000億円をボーンと積み上げるとなると、アメリカにとってはますます良いお客さんになりますが、それだけということになりかねません。

 そういうことから考えても、CTOやNational Technology Officerのような人が必要だという気がして、しょうがないのです。私は結構オプティミスト(楽天家)で、「部署をつくれば人は育つ」と考えています。部署をつくらなければ人は育ちませんけれども、部署をつくれば10年もたつと人は育ってくると思います。

 しかし、やはり日本は平等主義がすごい。これは、そういう社会が良いと日本人が選んだ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
一條和生
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
徳と仏教の人生論(2)和合の至りと正直
正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの
田口佳史
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ