老荘思想に学ぶ
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言葉より現場へ行くのが勉強になるという老子の言葉
老荘思想に学ぶ(4)「生命論」をビジネスシーンに活かす
田口佳史(東洋思想研究家)
 老荘思想が若者の間で流行しているという。しかし、「足るを知る」を単なる消極性礼賛や様子見の言い訳としているようでは嘆かわしく、根が浅い。本来の「老子」には、ビジネスシーンで戦うための方法がさまざまに示唆されているからだ。現代に生かすべきその教えを、老荘思想研究者・田口佳史氏が解説する。(全5話中第4話)
時間:17分07秒
収録日:2016年12月5日
追加日:2017年6月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●「体道第一」で、言葉の限界を知る


 『老子』を開くと、「体道第一」という章から始まります。「体道」とは、「体で道を体得すること」です。もうすでに申し上げましたが、老荘思想では宇宙の根源を「道」と呼びます。天地を創り、万物を創ったものが「道」であると言われている。言い換えれば「生みの母」です。生みの母の言い付けをよく守り、その人の言う「こうしなさいよ、こうやって生きるんだよ」という教えを守っていくのが一番いい生き方ではないかと説いているのです。

 では、その「道」とは、どういうものなのか。『老子』の一番最初を開いて、どんな章句から始まるかを見てみましょう。

 「道の道とす可(べ)きは常道に非ず」という言葉から始まります。これは何を言っているのかというと、いま私が口に出したように「『道というのは…』と言った瞬間に、「それは道ではない」と言っているわけです。すごいですね。つまり簡単に言うと「言葉には限界がある」ということなのです。

 「道」という言葉が出た瞬間に、私が感じる道と、皆さん一人一人が感じる道はもう違っている。だから、本当の「普遍の道(エターナル・タオ)」とは全然違うものなのだと言っているのです。そのぐらい言葉は頼りないものである。言葉は理屈を生みますので、理屈一点張りがいかに頼りないかということも示しているわけです。


●言葉で説明するより、現場へ行くのが勉強になる


 では、どうしたらいいのか。一つの例として、生まれながら目の不自由な方がいると仮定してお話ししてみましょう。そうすると例えば、今そこにある水のボトルを言葉で説明しようとしても、言葉には限界があるので、その人の頭にそれ自体の像がありありと浮かぶことはないのです。では、どうすればいいのかといえば、触っていただくのが一番いい。触ることが「体得する」ということなのです。

 道について書かれた『老子』の「道徳経」は81章にわたりますが、それらを理屈ではなく感覚で読んでほしいと、冒頭で述べているわけです。その象徴が「道は体得するものだ」と示す「体道第一」の言葉です。

 何事も言葉や理屈に頼ろうという現代人の最大の弱点を、老子は予見しているようです。それよりは体験をさせた方がいい。もっと言えば、現場に連れて行った方がいいということです。現場には匂いがあるし、五感が働く。全てのことは五感を用...

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