比較制度分析とは何か
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
福島第一原発事故の比較制度分析で見えてくるものとは?
比較制度分析とは何か(5)原発事故の分析
谷口和弘(慶應義塾大学商学部教授/南開大学中国コーポレート・ガバナンス研究院招聘教授)
福島第一原発事故の対応は、なぜ意思決定が遅れたのか。青木昌彦教授は、組織アーキテクチャにおける集団認知に着目し、原発事故の比較制度分析を行ってきた。慶應義塾大学商学部教授の谷口和弘氏が、現実に対してさまざまなインプリケーションを持つ比較制度分析の可能性を解説する。(全5話中第5話)
時間:11分55秒
収録日:2017年11月2日
追加日:2018年2月1日
≪全文≫

●組織の主体はどのように環境や情報を処理しているのか


 比較情報や歴史情報、そして制度についてお話ししてきましたが、これは「行動予想+共有知識の公的表象」に関係する話題でした。人々の頭の中にあるものと外在しているものを見たわけです。

 次にお話ししたいのは、組織アーキテクチャについてです。これは主体間の相互作用、あるいは認知的分業が、どのように行われているかということに関係します。組織アーキテクチャを考える上で、モジュール化という概念が重要です。モジュールとは、自己完結的な単位を指します。

 組織の主体がどのように環境や情報を処理しているのかを考えたいのですが、そこにはさまざまなパターンがあります。比較制度分析では、主に3つの集合認知のタイプ、あるいはモジュール化のタイプが示されてきました。

 1つ目は、同化認知と呼ばれるものです。これは「擦り合わせ」や「情報同化型」とも呼ばれます。主体間が文脈を共有し、得た情報を相互にコミュニケーションして、常に擦り合わせていくというタイプです。何かを継続的に話し合ったりして調整しながら、あたかもモジュールがつながれてくようにして、情報の擦り合わせが行われるのです。

 2つ目は、ヒエラルキー的認知です。これはトップダウン、上意下達、あるいは情報分割です。共通環境の観察に特化したトップがおり、そのトップが環境を観察します。観察の成果を解釈した上で、それをトップダウンで伝えていくというタイプです。これはトップダウンでモジュールをつないでいくイメージです。

 3つ目は、カプセル型認知です。何かルールを決める際に、そのルールをオープンなものにしておくという方法です。開放ルール型、あるいは情報異化型と呼ばれます。それぞれの主体やモジュールが分野ごとに独立していて、共通点があまり見つからないとしましょう。その場合、何らかの共通ルールを決めて、それに従って個々の役割を果たしてもらうようにするわけです。


●情報の擦り合わせでは、意思決定に遅れが生じる可能性がある


 例えば、原発事故の比較制度分析として、青木昌彦教授は2013年にスタンフォード大学のジェフリー・ロスウェル博士と共同研究をしています。また、2014年には『青木昌彦の経済学入門』を出版しました。その中で、こうした組織アーキテクチャの基本形を用いながら、過去の原発事故につ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
ウォーレン・バフェットの成功哲学(1)「世界一の投資家」の実像
世界一の投資家ウォーレン・バフェット…賢人と呼ばれる理由
桑原晃弥

人気の講義ランキングTOP10
老子の神髄(2)達人の境地と「無為」
無為とは「絶対なる喜びを得る」こと…その境地こそ長寿への秘訣
田口佳史
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(6)リベラルアーツの本質
自分にしかできない自分の世界を味わうために、他の人とつながる
橋爪大三郎
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(8)シオニズムとユダヤ教
シオニズムは伝統的なユダヤ教とは異質…イスラエル建国の背景
鶴見太郎
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
日本神話の基本を知る~世界・人間・文化のはじまり
「国生み・国作り・国譲り・国治め」と「むすひ」の力
鎌田東二
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(6)賃金の未来シナリオ
AIが人間の仕事を「完全代替」したらどうなる?…仕事と賃金の未来
宮本弘曉