比較制度分析とは何か
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
比較制度分析の創始者・青木昌彦のコーポレーション理論
比較制度分析とは何か(3)集合認知システムとしての会社
谷口和弘(慶應義塾大学商学部教授/南開大学中国コーポレート・ガバナンス研究院招聘教授)
比較制度分析の創始者、青木昌彦教授は株式会社を集合認知システムとして捉えていた。株式会社は認知的分業を組織として行うとは、どのような意味なのか。比較制度分析におけるコーポレーションの考え方について、慶應義塾大学商学部教授の谷口和弘氏が解説する。(全5話中第3話)
時間:8分38秒
収録日:2017年11月2日
追加日:2018年1月30日
≪全文≫

●比較制度分析では、複数均衡に注目する


 比較制度分析を展開してきたスタンフォード大学ビジネススクールのジョン・ロバーツ教授は、組織デザインの文脈で「コヒーレンス(coherence)」という言葉を使っています。これはまとまりや整合性、一貫性という意味合いを持った言葉です。経営者はいろいろな選択をしなければいけませんが、その選択肢を相互にフィット(適合)させるというのが、コヒーレンスの趣旨です。いろいろな領域で生まれてくる制度や方法に、どうやってまとまりを持たせるのかを考えようというわけです。

 ロバーツ教授によると、コヒーレンスには2つの意味があります。第1に局所性、第2に全体性です。局所性とは、スライドのような山の頂上を思い浮かべてください。頂上が1つだけであれば、非常に最適な点が1つだということですから簡単です。しかし、山の頂上が複数ある場合はどうでしょうか。その頂上は、ある条件の下でのみ良いだけであって、別の高さの頂上も存在するということが起きてしまいます。

 つまり、経営学でいうコンティンジェンシー理論ではありませんが、条件によって最適な組織の在り方などが変わってくるのです。これが局所最適性という意味です。新古典派経済学では、最適な均衡は1つだと考えられてきました。しかし比較制度分析では、複数均衡に注目します。アメリカ型のガバナンスか日本型のガバナンスか、あるいは株主主権型か経営者主権型か労働者主権型かといった条件によって、均衡は変わってくるのです。

 コヒーレンスの第2の意味は全体性です。システムや組織をまとまりとして考えるなら、その一部だけを変えていても全体を変えることにはなりません。だから同時多発的に、さまざまな部分を変えていく必要が出てきます。これが全体性の言わんとすることです。非常に小さく、ちまちまと部分的に物事を変えるというよりも、大胆に大きく、全体的に物事を変えていかなければ、仕組み自体を変えることはできません。こうした含意があります。


●コーポレーションとは永続性を持った社団組織である


 企業の話をしてきましたが、青木昌彦教授は2010年に書かれた『コーポレーションの進化多様性』の中で、企業からコーポレーションへと議論を拡大させています。コーポレーションというと、株式会社を想起される場合が多いでしょう。しかし青木教授は、コーポレーション...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(1)人口問題の本質
「逆・タイムマシン経営論」は本質を見抜くための方法論
楠木建
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保
営業の勝敗、キリンの教訓(1)やる気のない社員になる理由
なぜ「やる気のある社員」が日本では6%しかいないのか?
田村潤
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
「満洲」から考える日本とアジア(6)21カ条の要求と第一次世界大戦
日本が中国に出した「21カ条の要求」の罠と必然…不安定な満洲利権を手にした日本が直面した難題とは?
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)『イリアス』の世界ーその1
叙事詩イリアス…トロイア戦争最後の50日間を描いた傑作
納富信留
キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術(1)悩みの99%は他者との関係性
「使命観=パーパス」に立脚できないのは自分のエゴのせい
田村潤
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸