●世界の火山分布とプレートテクトニクスによる火山活動
東京大学名誉教授の藤井敏嗣です。このシリーズでは、火山噴火についてお話をします。1回目は、火山の世界的な分布と、火山噴火のメカニズムについてです。2回目は、現在日本で活動中の火山の話をします。3回目は、富士山の噴火があるのかどうかというお話をします。4回目では、火山噴火予知と噴火警報の話をします。
今回は、火山の世界的な分布と、火山が噴火するメカニズムについてお話しします。最初に、火山がどういう所に分布しているかという図を見ていただきます。
この図の黄色い三角形は、火山がある場所を示しています。また、黒や赤の丸が書いてある場所は、地震の発生地を表しています。これを見ると、大陸の周辺部において、地震の分布と火山の分布とが一致していることがよく分かると思います。それに対して海の方には、地震を表す赤や黒の丸だけがあって、火山を表す三角形が見えません。しかしこの部分は、水深4000メートルの深さですから、われわれ人間が火山として目撃することができない場所です。そのためプロットされてはいませんが、この場所でも活発なマグマの活動が行われています。ですから、もし陸上であれば非常に立派な火山として見られるものが、世界の海の中にはあります。
この火山の分布を、現在われわれが理解している、プレートテクトニクスとの関係でお話しします。するとまず、先ほど申し上げたように、図の上では黄色い三角形がついていない、海底にある火山があります。これを「中央海嶺」と呼ぶのですが、ここでプレートが生産されています。プレートは、生産された後に両脇に広がっていき、しばらくすると、大陸や日本列島などの下に沈み込んでいきます。このようにプレートが沈み込んでいく場所では、火山活動が起こります。それとは別に、プレートの途中の「ホットスポット」と呼ばれる場所でも、火山活動が起こることがあります。これは、ハワイで起こっているような火山活動です。大きく分けるとこの3つのタイプの火山が世界には分布していることになります。
●日本列島の地下構造
では、プレートが沈み込んでいる日本列島の下を見るとどうなるか。これは...