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火山爆発指数7以上も?今後日本で起きる火山噴火の規模

火山の仕組みを知る(2)活動中の火山とその特徴

藤井敏嗣
東京大学名誉教授/環境防災総合政策研究機構・副理事長 兼 環境・防災研究所長/山梨県富士山科学研究所長
概要・テキスト
東京大学名誉教授の藤井敏嗣氏が火山の仕組みについて詳説するシリーズレクチャー。第2話は日本で活動中の火山とその特徴についてだ。火山活動の継続期間は噴火によって大きく異なり、噴火開始直後に規模や収束時期を予測することは困難である。日本では近年、小規模な噴火のみが起こっているが、将来的には過去に経験した富士山や桜島の噴火のように大規模なものが起こり得るという。(全4話中第2話)
時間:12:43
収録日:2018/04/16
追加日:2018/06/01
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≪全文≫

●草津白根での水蒸気噴火


 今回は、日本で活動中の火山とその特徴についてお話をします。

 2018年1月の末に、草津白根で噴火があったことはご存じだと思います。これはその時の写真です。右の方に黒い噴煙が上がっていますが、このあとこれが斜面に沿って下っていきました。それから、写真上にポチポチと黒いものが見えます。これはゴミのように見えますが、実は噴石と呼ばれる岩石です。噴火の時には、火口から大きな岩石が飛び出してきて、その一部が当時訓練中の自衛隊に当たって亡くなりました。また、その他11名の負傷者が発生しました。これは水蒸気噴火の一つの例になります。

 この草津白根山については、図の湯釜というところから噴火をするのではないかと想定して、気象庁も密な観測体制を敷いていました。また、東工大の観測所も、湯釜を中心に観測をしていました。湯釜では歴史時代に何度も噴火をしたことがあります。ここで起こった噴火は主に水蒸気噴火ということで次も水蒸気噴火が心配されていました。

 ところが、です。湯釜から2キロメートルくらい南の方に、実は本白根火山があります。この図を見ますと、丸い穴がいくつも開いていますが、これらが古い火口になります。本白根火山について、3000年前以降は噴火をしていないと、気象庁は思っていました。しかし最近の調査で、実は1500年前にも噴火があったことが分かりました。1500年前の噴火についてはまだ学会発表があっただけで論文にはなっていなかったため、あまり知られていませんでした。いずれにせよ、この1500年以上休んでいた火山が、突然噴火したのです。それが1月の草津白根山での水蒸気噴火で、前兆を捉えるのが非常に難しい水蒸気噴火の典型的な例です。


●霧島新燃岳のマグマ噴火


 次の写真は、2018年3月に活動を再開した、霧島新燃岳の噴火の様子です。新燃岳では、2011年に非常に大きなマグマ噴火が起こりました。今回の2018年3月から始まった噴火も、マグマ噴火です。写真で噴煙が上がっている場所の裏側に、少し土手のようなものが見えます。これが火口の縁になります。

 噴煙が上がった後に、どんどんとマグマが上が...
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