東京大空襲と私
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「神風の一員になれ」と言われた少年時代
東京大空襲と私(1)昭和20年3月10日の体験
早乙女勝元(元東京大空襲・戦災資料センター名誉館長/作家)
平成30(2018)年は、東京大空襲から数えると73年に当たる。今年も3月10日には東京都の慰霊堂で営まれた法要に多くの人が参列し、犠牲者の冥福を祈った。都は3月10日を「平和の日」と定めている。この悲劇の記憶を風化させない活動に半生を捧げてきた東京大空襲・戦災資料センター館長で作家の早乙女勝元氏が、自らの体験を語り起こす。(全3話中第1話)
※撮影協力:東京大空襲・戦災資料センター
時間:12分21秒
収録日:2018年3月26日
追加日:2018年8月1日
≪全文≫

●「神風の一員になれ」と言われた少年時代


 早乙女勝元です。今日は、東京大空襲の私の体験からお話をさせていただこうと思います。東京大空襲は、昭和20(1945)年3月10日、米軍B-29による無差別爆撃でした。

 当時、私は12歳です。今でいう、中1(中学校1年生)の生徒とお考えくださっていいと思いますが、国民学校高等科1年生になっていました。当時の男の子は、ほぼ間違いなくみんな軍人志望でした。少年航空兵が憧れの的で、14歳から受験することができました。15歳になると「七つボタンは桜に錨」と歌われた予科練へ行けるということで、こぞってお国のために尽くそうという子どもたちばかりをつくる教育になっていたのです。

 例えば当時、私が買わされた鉢巻きがあります。その頃は学校の授業はなく、勤労動員先の鉄工所へ、これを締めて働きに行くことになっていました。今お目にかけると、「風神」と読む人がいるので困ります。それは逆で「神風」です。

 なぜかというと、日本は「神の国」だというのです。だから、歯向かってくる敵は「鬼畜米英」(アメリカとイギリス)と呼ばれました。まさかというような重大事が来たとしても、心配することはない。きっと神風が吹いてB-29の大群を吹き散らし、敵の連合艦隊もみんな藻くずとなって消えてくれる。おまえたちは1日も早く「神風の一員になれ」というのが、先生が繰り返し繰り返し言っていたことでした。

 ここで少し矛盾しているのは、神風が吹くのを待てばいいのかと思うと、そうではなく、「神風の一員になれ」、つまり「神風特攻隊になれ」ということです。


●サイパン・マリアナから空襲に来たB-29


 そういう教育状況の中、昭和20(1945)年になった途端に、いよいよ国土が戦場に変わる日が始まりました。島国である日本の場合、戦場は全部海のかなたにあったわけです。「内地」(伝わりにくい言葉になりましたが、外地に対する内地です)である国土は「銃後」と呼ばれました。「銃後の守り」といえば女性や子どもを指し、そこは絶対に安全な地帯ということになっていたのです。

 その頃、日本に向けて開発されたアメリカの超重爆撃機B-29の発進基地が、東京まで2300キロの地点に造られました。「サイパン・マリアナ基地」と呼ばれ、サイパン、テニアン、グアムの島から成っています。一時は日本軍の占領していた場所ですが、全滅してアメ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(1)危機の台湾への密航
「国共内戦」危機の台湾…根本博の密航と涙で迎えた中国人将軍
門田隆将

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(6)21カ条の要求と第一次世界大戦
日本が中国に出した「21カ条の要求」の罠と必然…不安定な満洲利権を手にした日本が直面した難題とは?
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫