VRがつくりだす未来
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
VR技術はいかに進歩してきたのか?
第2話へ進む
VR(バーチャル・リアリティ)とは…3要素の調和が重要
VRがつくりだす未来(1)VRとは何か?
廣瀬通孝(東京大学名誉教授)
最近、「VR(バーチャル・リアリティ)」が注目を集めているが、近年VRに関する装置が安価化し、30年ほど前に提起されたアイデアが手軽に実現されるようになった。ではそもそもVRとは何なのか。仮想現実への没入から現実の拡張まで、VRのさまざまな可能性とともに解説する。(全5話中第1話)
時間:16分11秒
収録日:2018年10月19日
追加日:2018年12月1日
≪全文≫

●VRという言葉が最近、注目を集めている


 東京大学の廣瀬通孝と申します。「VR(バーチャル・リアリティ)」に関して、お話しさせていただきたいと思っています。

 VRという言葉が最近、注目を集めています。一部のマスコミによれば、2016年が「VR元年」と表して喧伝している人たちもいるようです。

 バーチャル(V)という言葉は、「実際には存在しないけれども、機能や効果として存在するも同等」というような意味です。リアリティ(R)という言葉は、実は「現実」や「現実感」というような意味です。全て合わさった「VR(バーチャル・リアリティ)」という言葉は、コンピュータによってつくり上げられた映像世界の中に、われわれが入り込んでいって、そこでさまざまな擬似的な体験をすることができる、そのような技術のことを称して使われています。

 ちなみに、VRのことをよく「仮想現実」というのですが、仮想という言葉は少し微妙で、厳しく言葉を使う人の中には、誤訳ではないかという人もいます。仮想という言葉は、英訳すると「imaginary」あるいは「supposed」で、仮に考えただけというような意味になります。例えば、「仮想敵国」という言葉はありますが、それを「バーチャル・エネミー」と訳すと、実際に戦争が起こってしまうというような話になります。よって、バーチャルという言葉は、もう少しリアルな方に寄った言葉だとご理解いただければいいのかもしれません。

 そのような、ややクラクラするような感じを持っている言葉がバーチャルという言葉ですが、恐らくその言葉遣いが良かったせいもあり、社会の注目を集めているということかもしれません。


●VRという言葉が注目を集めたのは30年前


 ところで、VRという言葉が注目を集めたのは、実はそれほど新しいことではなく、技術の分野では今から30年ほど前のことになります。

 具体的にいうと、1989年にアメリカのVPL社(Visual Programming Language)がとある博覧会で、「未来の電話はこのような形になる」ということで、ゴーグル型のディスプレイ(今でいうところのヘッドマウンテッドディスプレイ)を人に被らせたのですが、そのディスプレイを被ると周りが360度見えるわけです。

 そこで、電話をかけるとドアが突然開き、向こうから、今でいうところのアバターが入ってきて、「...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
都市木造の可能性~木造ビルへの挑戦(1)木造建築の歴史と現在
伝統木造建築はいま都市で必要な建物ではない
腰原幹雄
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
一條和生
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦