VRがつくりだす未来
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VR技術が社会に受け入れられるためには?
VRがつくりだす未来(5)社会実装にあたっての課題
廣瀬通孝(東京大学名誉教授)
一定のめどが立ってきたVRの技術だが、実際に社会で運用する際にどのような障害が起こり得るのだろうか。ヘッドマウンテッド・ディスプレイ(HMD)を使った際に人に与える影響など、いまだに明らかになっていない問題は多い。 高齢化問題にどう役立たせるのかといった点も含め、VRの社会実装における課題について解説する。(全5話中第5話)
時間:17分02秒
収録日:2018年10月19日
追加日:2018年12月29日
≪全文≫

●2016年はVR普及元年


 VRの技術そのものに関しては、今まで話してきましたように、一定のめどがついてきたという状況だろうと思います。やっと動くようになったという状況ではなく、ある程度のクオリティのあるシステムがすでにリーズナブルなコストで利用可能だという状況にはなってきたということです。

 そして、まさにこれから大胆に始まろうとしているのは、VRの技術をどうやって社会実装していくかというところでしょう。ですから、シリーズ1話目の最初の方で「2016年がVR元年」と申し上げましたが、VR普及元年だということであれば、そんなに間違ったことではないと思います。


●HMDが目に与える影響とその可能性


 もちろん普及に当たっては、さまざまな障害がこれから立ちはだかってくるということはもちろんですし、それを克服できて初めて、技術として一人前のものに成長していくと思います。

 即物的に考えると、おそらく皆さんが最もご心配されるところは、「HMDって大丈夫?」というようなことではないでしょうか。また、「目に悪くないのか」あるいは「斜視になるのではないのか」ということもよくいわれています。こういった問題は、どんな技術に対しても、すべからく起こってくることで、そこはその分野で権威のある人たちにそういう側面から研究していただき、実際の影響などについて見ていくということだと思います。

 短期的な影響に関しては、研究者はすでに30年ほど使っていますから、そういった人たちの目がおかしくなったという話は聞いていません。少なくとも通常のVR体験に使うというくらいなら、そんなに心配はいらないのかなと思います。

 ただ、それが一般に広く普及していったときはどうでしょうか。研究者は実は、そんなに耽溺するほど没入して使うという状況にはまだなっていません。よって、それが趣味化して広がっていったとき、本当に大丈夫かというのは時間的問題として、これから恐らくぽろぽろと出てくるのではないかと思います。

 実際の機械は人間の外にありますから、そういう意味においては、例えば「自動車が人間に悪い影響があるんじゃないの?」といっても、自動車は人間から比べれば基本的に何メートルも先にあり、そんなに近いわけではありません。ところが、VRのヘッドマウンテッドディスプレイは人間の体に非常に近いところにありますから、そういう意味...

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