VRがつくりだす未来
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VR技術のビジネスへの活用と具体例
VRがつくりだす未来(3)ビジネスでのVRの活用
廣瀬通孝(東京大学名誉教授)
VRの技術で重要なのは、自分の身体と物体の距離という空間的な体験を伝えることである。この技術は、ゲームだけでなく、さまざまな分野でその応用が期待されるという。それはいったいどんなことなのか。具体的事例を挙げて解説する。(全5話中第3話)
時間:14分56秒
収録日:2018年10月19日
追加日:2018年12月15日
≪全文≫

●VRの技術は「可視化」の技術


 それでは、今回は研究室の外に目を向けてみましょう。VRの技術は一体どのようなところで利活用できるのか、あるいはビジネスとしてどのようなことが関係してくるのかということについて、お話します。

 まずVRの技術というと、恐らくほとんどの方が「ゲームのことではないの?」という見方をされるのではないかと思うのですが、それはVRの研究を行っている人たちから見るととても心外なことです。VRの使える範囲は非常に広く、多くの産業に関連するということをここで申し上げておきたいと思います。

 もともとVRの技術は、さまざまな情報技術の中でも、その技術をどうやって人間に分かりやすく伝えるかということに関する技術です。今盛んにいわれている人工知能(AI)の技術は、伝える方の技術ではなく、機械が現実の世界を読み取るというセンサーの技術です。ですから、よくVRの技術とAIの技術は似ていると語られることが多いのですが、あえていうならば、全然違うということです。

 こういった一連の技術は「可視化の技術」で、人間にどう情報を伝えるかという技術のことです。可視化の技術は非常に面白い技術で、作家の立花隆さんが一時期、脳に興味を持たれて、そこからVRの取材を進められたということがありました。一度取材に来られたのですが、非常にいい言葉を残されました。それは何かというと、「百聞は一見にしかずという言葉があるんだけど、この技術は『百見は一体験にしかず』だよね」という言葉でした。

 ですから、正確にいうと、VRの技術は「可視化」ということで、見るだけではなく「体験」というキーワードを通じて、もっと強力な刺激を人間に対して与えることができる技術であるとお考えいただければと思います。特に、実際にやってみることができるということが非常に重要なのです。


●建築家は早い時期からVRの技術のポテンシャルに注目していた


 われわれのさまざまな活動の中で、数字というものがいろいろなところで飛び回ります。例えば、建築の話をすれば、商店街をこれから改築していこうとしたとき、「店の前の道を何メートルか拡大しようとすると、そのためにはお店を狭くしないといけないのですが、そうすれば良くなりますよ」というようなことを、建築家が言ったとします。その際、建築家の人たちは普通、天空率というものをよく持ち出します...

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