VRがつくりだす未来
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
VR技術はいかに進歩してきたのか?
VRがつくりだす未来(2)VR技術の進歩と可能性
廣瀬通孝(東京大学名誉教授)
第二期ともいえるVRブームで重要なのは、かつてと比べ、映像、センサー、位置情報などの技術が格段に進歩し、かつ安価になったことである。さらに心理学の知見を用い、錯覚を利用してより現実に近い体験が追求されている。VRの進歩は、われわれに現実に関する新たな問いを突きつけている。(全5話中第2話)
時間:15分17秒
収録日:2018年10月19日
追加日:2018年12月8日
≪全文≫

●現在のVRブームは第二期のブーム


 VR(バーチャル・リアリティ)ですが、前回お伝えしたように、そもそもその言葉が登場するのは1989年です。ですから、すでに30年近い歴史を持つ技術だといっていいでしょう。ですから、正確にいうと、今のブームは、第二期のブームだといえると思います。

 今、VRを理解するに当たって非常に重要なことの一つは、その世代の違いを理解するとことだと思います。例えば、技術的な環境が全く違っています。第一期である1989年のブームの時は、実はVRと密接な関係にあるべきインターネットという技術もまだ非常に未成熟でした。

 今の学生に話すと、「信じられない」と答えるのですが、実はウェブという概念がまだ1989年にはありませんでした。現在ではウェブサイトから画像を供給するなどということは、当たり前のことのように語られますが、当時のVRは、ある意味では一人ぼっちといいますか、スタンド・アローンのシステムだったということを、一つ挙げることができると思います。

 現在はIoTということで、さまざまなセンサーが気楽に手に入ったり、あるいはスマートフォンが広く普及したりしていますが、そのようなことは当時、全く考えられていませんでした。

 30年というと、だいたいその分野の研究者も一巡してしまうほどの話なので、われわれが非常に苦労していたような技術を、今の若い研究者の人たちはいとも簡単に乗り越えていくようなところを見ると、本当に代替わりだなという感じをするというのが、現在のVR技術の現状かと思います。


●第一世代の頃からの変化は大きなコストダウン


 そして、その変化の中で非常に分かりやすいのは、大きなコストダウンがあったということでしょう。

 前回「アイフォン」の話をしましたが、当時おそらく日本円で1台当たり300万~400万円ほどしたのではないかと思います。アイフォンは広い視野角を持つヘッドマウンテッド・ディスプレイですが、性能はどのぐらいだったかというと、画像の分解能でいえば100×150です。100×150というと、聞き間違えだと思われた方もいるかもしれません。しかし、本当に100×150で、視力でいうと恐らく0.1あるかないか程度のぼやけた映像が目の前に広がっている、あるいはモザイクそのものという言い方をした方がいいのかもしれません。そのような映像が広がっているわけですから、その中では当然...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子