●「DX的なものとVR的なものが結婚した先にメタバースがいる」
―― 皆さま、こんにちは。本日は廣瀬通孝先生に、メタバースについてのお話をいただきたいと思っています。今日は先生、どうぞよろしくお願いいたします。
廣瀬 どうぞよろしく。
―― 最近、メタバースという言葉を聞く機会が多くなり、いろいろな企業がこれからの可能性に向けて盛り上がっている最中です。そもそもメタバースというのはどういう意味になるのでしょうか。
廣瀬 メタバースとは何かということですが、私はVR(バーチャルリアリティ)が専門ですから実はVRに関しても最初からそうしたことを言ってきました。強いて(今の)VRにない要素ということでいうと、「ネットワーク上に大規模に展開したVR」という言い方になると思います。
―― VRがネットワークに展開するのとしないのとでは、どのように違ってくるのですか。
廣瀬 いわゆるネットワーク世界というものがあるじゃないですか。あれはまだVR的ではありません。
―― 例えばテキストでやり取りしたり、写真を使ったり、あるいはZoomやTeamsなどではテレビのような感じですね。
廣瀬 そうですね。絵が見えるものもあれば、LINEのようなものでは吹き出しが出てくるものもある。(そうではなく、)人と人が社会的な活動をするときに、今のいわゆるDX的な世界で行っていることのその先に、VR的な、より身体的な活動が入ってくる。あるいは、もっと直感的に空間を感じる。そのような要素を付け加えていったものがメタバースであるという言い方もできるかもしれません。「DX的なものとVR的なものが結婚した先にメタバースがいる」という感じかと思います。
―― なるほど。DXとVRの結びつき、それが結婚のようなことになるわけですね。ありがとうございます。
それでは今回は最初に廣瀬先生に(メタバースについての)講義の内容を紹介していただき、その後で実際にどういうことになるのかということで「アバターでの対談」も行ってみたいと思います。それでは先生、まず講義のほうをよろしくお願いいたします。
廣瀬 よろしくお願いします。
●平成の30年間を通して着実に成長してきたVR技術の歴史
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