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メタバースでお金を動かす「VR大規模経済圏」へのシナリオ

ゼロからわかるメタバース(4)VR大規模経済圏を考える枠組み

廣瀬通孝
東京大学名誉教授/東京大学先端科学技術研究センター サービスVRプロジェクトリーダー
概要・テキスト
FacebookがMetaに社名変更したのは2021年10月。仮想空間に注力するメタバース企業を目指す姿勢から、バーチャル空間が単なる遊び場でなく本格的ビジネス空間に変容しつつあることが示唆された。そこで気になるのは、バーチャルの世界で実際にお金は動くのかということだ。そこで今回は、「VR大規模経済圏」生成へ想定されるシナリオについて解説する。(全7話中第4話)
時間:10:01
収録日:2022/03/10
追加日:2022/10/19
タグ:
≪全文≫

●「バーチャルは遊びではない」――FacebookがMetaに社名変更した意味


 コロナをきっかけとして、われわれの活動空間としてのメタバースが非常に大きく注目を集めるようになりました。この分野には昨今、異常ともいうべき興味が集まってきていて、実際、今はいろいろなところでメタバースに関するシンポジウムが開かれたり、勉強会が開かれたりしています。これは、経営の方たちが自分たちの会社にとってどういう関係があるのか、考え始めたということのようです。

 特に記憶に新しいのは、2021年の年末ぐらいの出来事です。以前からVRに関して非常に積極的に活動を行ってきた会社としてFacebookがありました。私もまさかと思ったのですが、社名を「Meta」という名前に切り替えたのです。彼らはヨーロッパでバーチャル空間における専門家を数万人規模で集めるというようなことを宣言するなど、かなり本気度を出してきました。

 GAFAの一員だったFacebookが社名を変更したので、今は(Microsoftを加えた)「GAMMA」と呼ぶのだそうですが、ともあれ、旧GAFAに属する大手がメタバースに対して非常に関心を持ち始め、行動に移し始めているのです。例えばApple、あるいはMicrosoftなどがメタバースに関して、いろいろな発言を繰り返しているということです。

 こうなってくると、バーチャルな空間の中で、単なる遊びではなく、かなり本格的にビジネスを展開するということです。これは事実として、こうした分野の人たちが、純粋に技術的な話題だけではなく、「これは遊びではない」ということで経済的活動に対して興味を持ち始めたということでしょう。

 実際、コロナ禍における業績を考えると、リアルな世の中ではいろいろな問題があり、矛盾を抱え込んでいます。ところが、純粋にバーチャルな世界で活動している企業は史上空前の収益を上げ、何の問題もなく成長しています。こういうことを目の当たりにすると、「バーチャルは遊びではない」という話が出てくるのは当然だろうと思います。


●バーチャルの世界で実際にお金は動くのか


 そこで1つ心配になってくるのは、では本当にこういうバーチャルの世界の中でお金が動くのかというところだろうと思います。

 やや余談になりますが、私の友人に展示会を行っている人がいます。今のリモートの世界では、展示会といっても実際の商品展示はなかなかうまくいきませ...
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