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通勤は本当に必要か、メタバースが創造する新都市スタイル

ゼロからわかるメタバース(5)拡張認知による自律協調型社会

廣瀬通孝
東京大学名誉教授/東京大学先端科学技術研究センター サービスVRプロジェクトリーダー
概要・テキスト
コロナ禍で体験している「リモート化」により、われわれは新しい価値観の一端に触れている。例えば、20世紀の特徴に大都市に通勤する会社員が増えたという点が挙げられるが、「リモート化」が進む中、通勤は本当に必要なのかという問題と直面する。そこで新たな都市スタイルへの提案も始まっているが、メタバースはそこにどう絡んでいけるのだろうか。(全7話中5話)
時間:09:45
収録日:2022/03/10
追加日:2022/10/26
タグ:
≪全文≫

●リモートは不完全だがいいところもたくさんある


 今、われわれの社会が直面しているのは「バーチャルの中に逃げ込む」ことで、それをキーワードにすると「リモート化」になると思います。それが、われわれの生活の中で最も目に見えてきているところだと思います。

 リモートでさまざまな仕事をされている皆さまはやはり「これは完璧ではない」と感じておられるようで、それは正しい肌感覚だと思います。リモートに関してはバーチャルの質を上げていくことで、より現実世界に接近できることもあるでしょう。また、今現在あるツールとして、不完全ではあるけれども、いいところもたくさんあるということは、理解しておかなければいけないと思います。

 非常に大きな要素として、移動時間が非常に短くなったことが数えられますし、そこは評価すべきところではないかと思います。実は久々にお台場までリアルな講演をしに行きます。コロナの前までは何の疑いもなく行っていましたが、講演時間40分ほどに対して往復が3時間ぐらいかかります。時間効率でいうと30パーセントほどになっているわけです。これがリモートであれば、本当にその瞬間だけ行けばいいわけです。今回の講義もリアルで収録していますが、このために何人の方が交通機関を使ったかを考えてみると、その部分がオーバーヘッド(間接費用)になってしまっています。

 仮にリモートという技術が不完全であって、本来のリアルの50パーセントぐらいしか効果が発揮できなかったとしても、それ以前に時間効率で30パーセントぐらいのところとの勝負になってくるので、それでも御の字になります。実はわれわれがそういう世界を見てしまったということですから、ちょっと頭を切り替えてみるのはすごく大きなことかもしれません。


●コロナが書き換えた都市の常識


 われわれは20世紀を超えて、今21世紀の世界に住んでいます。20世紀の特徴は何かというと、大都市が生まれ、その大都市に通勤する会社員が増えたということなのだそうです。私も20世紀に大学生時代を経験しましたが、何の疑いもなくそういうことをやっていました。

 しかし、考えてみると、「通勤は本当に必要なのか」「都市にはもう少し別のスタイルがあるのではないか」といったようなことを考...
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