憲法改正のための国民投票~準備不足の国民投票~
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
憲法改正については国民投票の準備が不足しすぎている
憲法改正のための国民投票~準備不足の国民投票~
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
安倍政権は憲法改正を目指している。だが、最大の関門である国民投票の準備があまりに不足しすぎだ。CM、SNS、討論型世論調査……課題は山ほどある。必要な手続きは? 考えるべき論点は? イギリスやイタリアの事例に何を学ぶべきか? 10分で理解を深める「国民投票」。
時間:12分24秒
収録日:2019年1月11日
追加日:2019年3月19日
≪全文≫

●準備が不足しすぎている国民投票


 国民投票の話をします。何の国民投票かというと、憲法改正についての国民投票です。しかもサブタイトルに「準備不足の国民投票」とつけています。

 なぜそういうことを言うのかといえば、安倍首相は憲法改正をしたい。2020年までに憲法改正をできるならばしたい。現実的にはできるかどうか分かりませんけれども。

 日本の政治を見てみると、衆参で三分の二を持っている自公政権に維新(日本維新の会)と希望(希望の党)を足せば、国会での三分の二は可能です。しかしながら、最大の関門は国民投票なのです。ところが、その国民投票の準備がとても不足している、というのが私の感想です。この準備不足で憲法改正などできるのだろうかと。

 野党系の人にとっては、憲法審査会ですら動いていないのだから、これは憲法改正に行くことはないだろう、だから国民投票の準備も必要ない、という意見もあるかもしれません。逆にいえば、自民党は準備しなければいけないわけですが、そこが非常におろそかである、ということを、今日のテーマとして申し上げます。


●国民投票は制御不能な「猛獣」である


 国民投票はこわいものです。これは、憲法審査会あるいは憲法についてずっと長く指導的な立場にあった中山太郎氏が言ったと言われる言葉ですが、「国民投票というものは猛獣だ。猛獣使いはまだ現れていない」と。伝聞ですので本人がそうおっしゃったのかどうかは分かりませんが、大変こわいということは確かです。なぜか。

 イギリスのEU離脱は、国民投票で決まったわけです。あれだけ長い歴史のイギリスが、しかも議会主権の国であるイギリスが、国民投票をし、EUを離脱し、現在四苦八苦しています。そういう状態を見ると、国民投票はこわいということは分かると思います。

 イタリアは憲法改正を国民投票にかけました。レンツィ政権が国民投票にかけたのはいいのです。そこで対象となる項目は、二院制を取っているイタリアの二院の関係、それと中央政府と地方政府の関係を整理する、という非常に真っ当な改革案でした。それは国会を通りました。ですが、国民投票で議論がどこに行ったのかというと、「政権を信任するかどうか」という方に行ってしまったわけです。

 「国民投票はいいものだ」と、参加民主主義論者はずっと言い続けてきたわけですが、現在それに対してかな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ