土砂災害と防災
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
土砂災害は「まさか」という場所で起こりうる
土砂災害と防災(2)土砂災害の実態
池谷浩(山梨県富士山科学研究所 客員研究員/農学博士)
土砂災害の特徴は、多様な原因によって多様な事象が発生することである。近年では、流木により川の流れが変わり、それまで想定しなかった区域がハザードゾーンになる例も多い。社会的側面として、高齢化の進行も災害を拡大する要因となっている。第2話では、近年の事例を中心に土砂災害の種類と実態を見ていく。(全3話中第2話)
時間:9分01秒
収録日:2019年3月13日
追加日:2019年5月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●深層崩壊と表層崩壊


 砂防・地すべり技術センターの池谷浩です。今日は、悲惨な被害が生ずる土砂災害の実態についてお話をします。家を破壊し、人の命を奪っていく土砂災害は、毎年全国では1千件近く発生しているという実態があります。そこで、土砂災害の特徴、つまり土砂の移動実態の特徴について、皆さんで考えてみましょう。

 まず特徴として挙げられるのは、多様な原因によって多様な事象が発生することです。原因としては、大雨、地震、火山噴火、融雪(雪解け)などがあります。これらの原因によって発生する土砂の移動現象として、土石流、地すべり、がけ崩れ、火山地帯では火砕流、火山泥流、溶岩流などがあります。また、よく「山崩れ」といいますが、一般的には「崩壊」と呼んでいます。この崩壊にも、深層崩壊や表層崩壊があります。

 深層崩壊とは非常に大きな崩壊のことです。例えば、平成23(2011)年9月に紀伊半島で発生した深層崩壊では、長さ1100メートル、深さは平均して30~50メートルもありました。

 一方、表層崩壊ですが、層は厚くありません。平成25(2013)年、伊豆大島で発生した土石流では、厚さ50センチ程度の表層崩壊が土石流を発生させました。大きな崩壊も、浅い崩壊も、大きな被害を与えます。


●「まさか」という場で土砂災害の起こった西日本豪雨


 多くの原因と多くの現象が発生するのが一つの特徴ですが、厳しいのは、これらの現象が突発的に発生することです。事前の予知がなかなか難しいのも、土砂災害の特徴といえるかと思います。

 最近でも、思わぬところで思わぬ災害が起こっている例があります。平成30(2018)年の西日本豪雨災害の時に広島県呉市で起こった災害は、国土交通省が「土砂・洪水氾濫」災害と名付けるほど、新たな災害として有名になりました。

 一般的に土砂災害は川の上流域で発生しやすいため、堆積するのも比較的上流に土砂が溜まります。下流に行くほど水の災害になり、洪水氾濫が起こるのが一般的です。

 呉市の場合は、海に近い勾配のゆるいところまで、川底に土砂が堆積して川を埋めてしまいました。本来ならそこで水があふれ出て洪水になるのですが、その時は流れ出た土砂が下流に堆積しました。その量も、1~2メートルという大変な量...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
科学的思考はなぜ大切か(1)「状態図」という概念
科学的思考とは「なぜ?」を追究していくこと
岡部徹
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
編集部ラジオ2026(30)AI時代の企業と道徳
【10minで考える】CPO(最高哲学責任者)…AI時代に必須の哲学とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(2)大規模言語モデルが孕む問題
AIは頭のないオウム?…AIがAIを引用する世界に創造性はあるか?
橋爪大三郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾