科学的思考はなぜ大切か
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「透明な氷」を作るときの考え方は工業的に応用されている
科学的思考はなぜ大切か(3)工業的な応用
科学と技術
対談 | 岡部徹神藏孝之
「透明な氷」を作るときの考え方は、工業的に広く応用されているという。また、透明な氷の作り方にはいろいろな方法があり、どの方法が最適であるかは、状況によって異なる。大事ポイントは、自然科学的な理解のもとに様々な方法を考えれば、必ず適切な方法にたどり着くということだ。(全5話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:8分36秒
収録日:2019年8月30日
追加日:2019年9月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●「透明な氷」を作るときの考え方は工業的にかなり応用されている


岡部 こんな教養的な話ばっかりでは面白くないので、僕の関わっている金属生産についての話をします。こういう透明な氷を作ること(ガスを含まない氷を作ること)は、要は不純物が少ない氷、製品を作るということです。これは、工業的にかなり応用されています。

―― レアメタルもこの一種ですかね。

岡部 はい。

 これを応用したものはいろいろあるのですが、昨日用意する際に考えたのは帯溶融(精製)法(Zone melting/refining)と偏析法(Segregation method)というものです。僕たちの学問分野では、普通によく使う方法として、超高純度の金属や化合物を作るときに工業的に今も応用されています。

―― 今も応用されているのはすごいですね。

岡部 例えば、コンデンサーに使う超高純度アルミニウムです。アルミニウムというは、皆さんが使っているものでも十分高純度なのですが、コンデンサーなどに使うのは、電子材料ですからさらに高純度です。これは何をやるかといえば、偏析法というものを使いまして、1回アルミニウムを溶かして、ゆっくり固めていきます。氷と一緒です。ただ、どんどん固まっていき、最後に溶け残ったものには不純物が多いのですけど、それを捨てるんです。それを何回かやると、かなり純度がいいアルミニウムができます。

―― なるほど。取り除くわけですね。

岡部 はい。僕は聞いたことがないのですが、昔、水の質が悪かった頃、寒い地域では外に水を置いておいたら、外から凍っていき、最後に溶け残った水は捨てて、お昼になったらその氷を溶かして飲むと、これがおいしいそうです。

―― それで蒸留するわけですね。

岡部 まさにこれが偏析法とよばれる高純度化手法です。要は、凍ることによって不純物を外に押し出すということです。氷が空気を外に押し出すのと同じです。これは普通に工業的に使われています。

 ただ、もっと凝った方法があります。帯溶融(精製)法という方法で、金属の塊を片方から順々に溶かしていくのですね。どんどん溶かしている部分をずらしていくと、不純物が次第に外側に来るんです。

―― なるほど。同じことなのですね。


●不純物を取り除く技術は半導体の基礎となった


岡部 同じ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
「海の哺乳類」の生き残り作戦(1)分類と海牛目の特徴
「海の哺乳類」が海の中で行った「生き残り作戦」とは
田島木綿子
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治

人気の講義ランキングTOP10
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦
編集部ラジオ2025(22)長谷川眞理子先生の「子育て」講義
生物学からわかる「ヒトの配偶や子育て」で大切なこと
テンミニッツ・アカデミー編集部
大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か
見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン
為末大
「集権と分権」から考える日本の核心(7)人間の性と今後の「集権と分権」
ロシアを見れば明らか…正義を唱えても優るのは人間の性
片山杜秀
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(11)地球にない宇宙資源を活用する時代へ
月で生活できる!? 地球では入手困難な宇宙資源の獲得へ
川口淳一郎
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(3)世界史の転換点としてのドクトリン
トランプ・ドクトリンの次の段階とイランへの空爆の意味
東秀敏
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎