科学的思考はなぜ大切か
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
醸造酒から蒸留酒の作り方を学問する面白さ
科学的思考はなぜ大切か(4)基礎数学の大切さ
よく耳にする醸造酒と蒸留酒。この2つの違いや作り方などについて岡部徹氏の解説が進んでいくが、それを理解する上で伝えたいのは「基礎的な数学」の大切さだ。岡部氏も学生の時には、「自然対数など、何でこんな訳が分からない関数の勉強する必要があるのか」と思っていたという。実際には、工学を学び、それを使う上では数学的思考は必ず必要になるという。(全5話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:15分58秒
収録日:2019年8月30日
追加日:2019年10月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●醸造酒から蒸留酒の作り方を学問する


岡部 次、行きましょうか。今度はこれですね。アルコールの作り方です。水とアルコール混合溶液からアルコールを分離する方法、これはどうしましょう。水とアルコールが混ざっている。要は濁酒(どぶろく)であったり、ワインだったり、ビールだったりですが、ここから、「俺はワインよりブランデーを飲みたい」というときです。

―― さらに濃いものを飲みたいとき。

岡部 ビールよりウィスキーが飲みたいと。濁酒より今日は蒸留酒でいきたい。明日、二日酔いしないように、と。これをどうするか、というのを学問すると面白いですね。

 蒸留酒は「スピリッツ」と呼びますけど、醸造酒というのは生物が発酵させることによってアルコールができるので、がんばっても16~20パーセントが限界らしいです。ちなみに日本酒は、一番アルコール濃度が高いらしいですね。それ以上になると、酵母ががんばれないのですかね、アルコールを作れないみたいです。ビールは数パーセントですねもんね。日本酒はいろいろあるでしょうけど。ここからアルコールを分離したい、濃縮したいというときに、蒸留ですから茹でたら(加熱したら)いいのですね。では、何で茹でたらいいのですか。そこのサイエンスです。


●蒸留酒は醸造酒を茹でて蒸発したアルコールを集める


―― 茹でるということは、水を飛ばすということですか。

岡部 そうじゃないんですね、残念ながら。確かに塩水を茹でたら、水が飛びます。塩だけが残り、どんどん濃くなります。だから、濃い塩水をどうしたらいいですかといったら、茹でる。あとは、ほっといて蒸発させる。たしかにそれは正しいです。では、アルコールの濃いものを作るときに、何が起こるかというと、(アルコール水を)加熱したら先にアルコールが蒸発していきます。逆にいうと、濃いアルコールを作ろうとして醸造酒を加熱したら、アルコール濃度が下がります。

―― なるほど。先にアルコールが飛んでしまうのですね。

岡部 例えば、日本酒でも燗のいきすぎってたまにあるじゃないですか。

―― 分かります。

岡部 100度のまましばらくおでんの鍋のところに置いておいて、長く置きすぎると気の抜けた日本酒フレーバーのアルコール抜きができますよね。あれはアルコール...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
都市木造の可能性~木造ビルへの挑戦(1)木造建築の歴史と現在
伝統木造建築はいま都市で必要な建物ではない
腰原幹雄
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
日本の財政と金融問題の現状(1)財政赤字の何が問題か
日本の財政は本当に悪いのか?将来世代と金利の問題に迫る
木下康司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜