日本企業の「稼ぐ力」を創出するために
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「選択と集中」―欧州と日本の事例
日本企業の「稼ぐ力」を創出するために(2)「選択と集中」の具体的事例
経営ビジネス
伊藤元重(東京大学名誉教授)
経済産業省〝日本の「稼ぐ力」創出研究会〟の座長も務める伊藤元重氏が、同会で実際に議論されている、グローバルな世界で競争する大手企業の具体的な事例について紹介する。日本の「稼ぐ力」の創出について考える上で必見の講話!
時間:8分52秒
収録日:2014年9月8日
追加日:2014年9月23日
≪全文≫

●日本の「稼ぐ力」の創出は、経済の主役である民間企業の収益力向上がカギ


 今、経済産業省の中に〝日本の「稼ぐ力」創出研究会〟が発足していまして、私はその座長を仰せつかっています。

 この「稼ぐ力」という言葉は、政府の成長戦略の中でも使われていますので、ご存知の方も多いと思いますが、結局、日本の企業が高い利益を上げていかない限りは、長期的な日本の持続的成長はなかなか望めないのです。政府は現在、アベノミクスの中で、第一の矢、第二の矢、そして成長戦略という第三の矢を推進していますが、所詮、経済の主役は民間企業であり、民間経済、特に企業が積極的に動かなければいけません。つまり、もっと高い賃金を払って、イノベーションを進め、投資を進めるためには、やはり根本のところで日本の企業が高いリターンを上げなければいけないということだろうと思います。ただ、残念ながら、ご案内のように、日本の企業は売上高利益率でも、あるいは株価収益率でも、欧米の対応する企業に比べて極めてパフォーマンスがよくありません。これをどのようにしていくかということが問われていると思います。

 経産省の〝日本の「稼ぐ力」創出研究会〟の中では、「企業にどうやってもっと利益を上げてもらうか」ということが詳しく議論されていますが、利益を上げてもらうということは、もっと詳しく言えば、「どれだけ高い資本収益性を生み出してもらうか」「どれだけ高い労働生産性をつくり出していくか」ということになります。


●ジーメンスは利益率6パーセントに満たない半導体部門を売却して収益性を高めた


 そして、このことは、グローバルに競争しているような大手企業と、例えば病院やバス会社、地元の小売業、サービス業などローカルで活動している企業とでは、分けて議論する必要があると思います。ローカル企業については、今日は少し横に置いて、グローバルな企業について、どんな議論が実際に行われているかということを、少し紹介させていただきたいと思います。

 具体的な非常に面白い一つの例としてよく取り上げられるのは、重電の分野です。この分野では、東芝、日立、あるいは三菱重工といった、日本の中ではそれなりに重要で大きな企業がありますが、海外では、欧州にジーメンスという会社がありますし、アメリカにGEという会社があります。残念なのですが、GEやジーメンスに...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
ウォーレン・バフェットの成功哲学(1)「世界一の投資家」の実像
世界一の投資家ウォーレン・バフェット…賢人と呼ばれる理由
桑原晃弥

人気の講義ランキングTOP10
未来を知るための宇宙開発の歴史(14)宇宙開発は未来をどう変えるか
『2001年宇宙の旅』が現実になる!?カギは宇宙医学
川口淳一郎
徳と仏教の人生論(2)和合の至りと正直
正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの
田口佳史
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(2)再生可能エネルギーの可能性と経済性
やればできる!再生可能エネルギーのポテンシャル高い日本
小宮山宏
クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か
中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う
上杉勇司
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(1)名僧の原著に触れる意味
「文は人なり」――原文を読んで名僧の思想の息吹に触れる
賴住光子
編集部ラジオ2025(25)クーデターで考える「政治の要点」
台湾クーデター・シミュレーション…「世直し」への条件
テンミニッツ・アカデミー編集部
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ