沖縄問題を考える
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戦争をせずに基地移転を承認するのは世界史でも異例
沖縄問題を考える(2)橋本・クリントン会談と名護市民投票
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
普天間基地移転問題は橋本・クリントン会談で進展するかに思えたが、沖縄県知事の発言で頓挫。そこで注目されたのが名護市の市民投票である。移転先として政治闘争に巻き込まれる市民の様子とリーダー達の想いを語る。(全6話中2話目)
時間:12分52秒
収録日:2013年12月25日
追加日:2014年2月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●世界史に例を見ない橋本龍太郎の偉業


 橋本龍太郎先生はクリントンさんに会いたい。基地の問題について議論したい。クリントンさんは、「今はだめだ。カリフォルニアのパームビーチというところにいるので、ワシントンへ行って橋本龍太郎首相の訪問を受け付ける時間的な調整がつかない」と言ったのですが、橋本さんは「かまわない」と言って、なんとパームビーチ、これはリゾート地ですけれど、そこに半分私的なことも含めていたクリントン大統領に直接飛び込んで、面会するのです。

 単刀直入に、「こういう問題があって、大問題で、おそらくこのまま放置するとアメリカの世界戦略は狂いますよ」ぐらいのことを言ったのだろうと思いますが、談判した。そうしたら、基地の移転をクリントンさんは認めたのです。

 そこへ出かける前に、実は当時、沖縄は大田知事という、言ってみれば左翼系の知事の方がおられて、この人に橋本さんが、「沖縄県民が今一番望んでいることはなんですか」「普天間の基地の移転ですよね」ということを、何度も何度も電話で念押しして出かけたというように言われています。「言われています」というのは、船橋洋一さんが大変詳しい取材でそれを書いているからですが、まさにこれを動かせば沖縄県民の喉に刺さった骨が取れるだろうということだったのでしょう。そこで、クリントンさんは応じた。これはものすごく珍しいことです。

 軍事基地というのは戦争の結果で決まるものです。太平洋戦争で日本が叩きのめされて、アメリカ軍が日本を占領し、そしてアメリカの世界戦略で東半球をしっかり固めるために、その中心としてできた基地なので、それを戦争ではなくて動かすということは、世界史でもあまり例のないことなのです。

 ですから、橋本先生というのは大変なことをしたのです。実は、佐藤首相という、橋本先生の先生ですけれども、この方がノーベル平和賞をもらっています。それはどうしてかと言うと、太平洋戦争の結果、アメリカが戦利品として獲得した沖縄という世界戦略基地を日本に返還させることにしたからです。ですから、世界史的にも珍しいということでノーベル平和賞を取っておられるのですが、それほど大きくないけれども、似たようなことを橋本総理はなさったわけです。


●キャンプ・シュワブへの移転提案と沖縄県知事の反対


 それで、日米両国政府の合意ですから動...

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