沖縄問題を考える
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ひめゆり学徒隊の壮絶さが物語る沖縄戦の悲劇
沖縄問題を考える(5)沖縄の歴史:太平洋戦争
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
歴史から考える沖縄問題。今回は太平洋戦争での沖縄戦で、日本のため犠牲になった嘉手納、糸満、那覇に焦点を当てていく。そこで起きた悲劇に迫りながら、沖縄のために命を懸けた人たちの姿と悲痛な想いを伝えていく。(全6話中5話目)
時間:11分31秒
収録日:2013年12月25日
追加日:2014年2月24日
≪全文≫

●日本は太平洋戦争にのめり込み、沖縄は巻き込まれていく


 ずっとそうです。日本が近代化して、世界の軍事大国になっていくときも、日本のお手伝いをしようということで沖縄は頑張ってきたのですが、その結果どういうことが起きたか。日本が太平洋戦争にのめり込んでいく。そして、ミッドウェー海戦で4隻の航空母艦を失って以来、日本の国内では「戦争に勝っている」だの「転戦している」だのと、いい加減なことが言われていました。軍令部がそれを言っていたので、いい加減と言っては申し訳ないですが、全部嘘です。ミッドウェー海戦以来、一度も日本海軍は戦いに勝ったことがありません。

 陸軍はそのおかげで領土を断たれて、壊滅につぐ壊滅です。それは最近ベストセラーになっている『永遠の0』をお読みになれば、手に取るように分かります。本を読むのが面倒くさい人は映画を見てやってください。全部分かります。ミッドウェー海戦以降は一度も勝っていないのです。あの馬鹿な南雲中将の失敗のおかげで、すべてを失ったのです。一番失ったのは、千人以上の一飛曹といわれる海軍航空隊のもっとも貴重な人材です。あのときいっぺんに失ってから、絶対に勝てなくなったのです。そういう戦争の中に、沖縄は巻き込まれました。


●嘉手納が盲爆にさらされても弾丸を使わずに耐え続ける


 それで、日本軍は、アメリカがどんどん南から北上してくるのに対して、硫黄島で戦いましたし、台湾も防波堤にしようと思ったのですが、アメリカ軍の勢いはそれよりもっと、うんと早くて、いっぺんに沖縄を取り囲んでしまったのです。

 1945年の4月、今の嘉手納空軍基地のあるところから見ると、沖縄の海には500隻を超える艦艇、航空母艦、戦艦、巡洋艦、強襲揚陸艇、砲艦、その他が並んで攻めるということになったのです。そして、4月1日、彼らはいっせいに火を吹きました。

 嘉手納というのは沖縄ではもっとも平らな土地です。唯一の大きな稲田があったところなのです。その真ん中に小さい陸軍飛行場があった。ここが盲爆にさらされました。沖縄を守っていた守備隊は牛島中将率いる沖縄方面軍ですが、これがほとんど抵抗しない。弾丸を使いたくないということがあったのでしょう。最近のニュースで、平和維持活動に出ている韓国の軍隊が、弾丸が足りなくて日本に弾薬をお願いしたというのが話題になりましたが、まさに弾丸を使...

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