沖縄問題を考える
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
戦争をせずに基地移転を承認するのは世界史でも異例
第2話へ進む
アメリカの世界戦略と沖縄の歴史的役割
沖縄問題を考える(1)普天間基地移転問題の発端と日米の思惑
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
沖縄問題を考えるとき、アメリカの世界戦略と沖縄の歴史的役割を理解する必要がある。普天間基地の移転問題の契機となった事件から、沖縄、日本政府、そしてアメリカの動きと思惑について語っていく。(全6話中1話目)
時間:12分34秒
収録日:2013年12月25日
追加日:2014年2月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●沖縄問題を考える上で理解しなければいけないこと


 みなさん、こんにちは。島田でございます。今日はみなさんと一緒に沖縄の問題を考えてみたいと思います。

 沖縄はこのところずっとニュースをにぎわせておりますが、私たちの耳に、目に飛び込んでくるのは、普天間基地を移転するという話です。

 ところが、これは17年も前に日本政府がアメリカ政府と合意をした話なのに一向に動かない。それでアメリカは非常にいらだって、防衛戦略を立てにくいということで、ワシントンもかなり日本には疑念を持ち始めている。

 日本の中では、今時の安倍政権がなんとか早く17年前の約束を実現したいということで動いているのですが、沖縄の人たちがもう手を振り上げて下ろさない、辺野古への移転は許さないと、こういうことになっているわけです。

 そこでみなさんは、一体どうなっているのかとお考えだと思います。この話、実は沖縄という地域が日本の中で歴史的にどんな扱いをされてきたのか、どんな役割を果たしてきたのかということをある程度分かっていないと、今の動きはまったく分からないと思うのです。

 それから、アメリカはもう少しで堪忍袋の緒が切れそうになっているのですが、これもやはりもう少し広い視野でアメリカが太平洋で戦後ずっとどのような役割を果たそうとしてきたかということを理解しないと分からない。その中で、沖縄には嘉手納空軍基地という大きな基地があるのですが、これは成田空港の4倍の広さを持っています。実はアメリカ空軍の世界最大の基地なのです。なぜそんなものをアメリカが沖縄に置いているのかということの意味を、大げさに言うとその世界史的な意味を分かっていないと、なんのことだか分からない。おそらく沖縄の過去の歴史、日本における沖縄の扱い方の歴史、あるいはアメリカの太平洋国家としての、まさに今この瞬間でもそうなのですが、そういうものがどういう意味を持っているのかということを分からないと、今日、普天間基地の移転ということに象徴される、沖縄問題の入り組んだ、こんがらがった糸の塊のようになったものは分からないわけです。今日はみなさんとご一緒に、それが全部分かるように少し整理をしてみたいと思います。この私の講義に1時間ぐらいお付き合いいただけたら、「そうだったのか」「よく分かった」ということになっていただきたいと思います。


●...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ