沖縄問題を考える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
言語学者・伊波普猷のエピソードにみる当時の沖縄社会
沖縄問題を考える(4)沖縄の歴史:琉球王国と明、明治時代
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
歴史から考える沖縄問題。数百年、中国・明と良好な関係にあった琉球王国が薩摩藩の支配を経て明治日本で県に組み込まれていくまでの沖縄の歩みを、当時の沖縄の人たちの意識とともに追跡する。(全6話中4話目)
時間:11分01秒
収録日:2012年12月25日
追加日:2014年2月24日
≪全文≫

●600年ほど前に尚家が琉球王国を建国


 沖縄というのは東シナ海にあります。日本列島の南、数百キロの南にあります。沖縄の少し南はもう台湾です。あそこがある種の文明史を持ったのは、日本の歴史に照らして言うと室町時代と言っていいと思います。まだ戦国時代になるはるか前です。

 沖縄は長細い島ですから、北のほうを北山、真ん中を中山、南を南山と言うのですが、それぞれ群雄割拠していたようです。その頃、沖縄は琉球と言ったのですが、尚家という後の沖縄の王家になった貴族が北山、中山、南山を統一して、600年ほど前にあそこに琉球王国を作ったのです。
 
 実はそれは沖縄本島なのですが、本島の南には宮古島、石垣島、一連の八重山群島があります。そのような構造になっていて、ここはまた全然違った文化圏なのです。

 この沖縄の南の群島と本島と、それから小さな離島がいくつかありますが、これはどこに位置しているかと言うと、南は台湾、北は日本、東は中国なのです。そして、もう少し北に近い東になると韓国。これら諸国が全部この島のことをいつも見つめているわけです。そういう極めて微妙な地政学的な地、位置にあります。


●明から冊封使を送られても乗っ取られない時代が何百年も続く


 その当時の超大国は中国です。明という大変立派な時代で、非常に強力な皇帝がいたのですが、この時代に明は沖縄に特別なことをしているのです。それは何かと言うと、様子をうかがっていたと思いますが、数年に1回、冊封使(サッポウシ)という200人から300人の集団を沖縄に送るのです。大使は1人、2人ですけれど、冊封使は数百人いますので、なんのためにそういうことをしたのか、なかなか興味のあるところですけど、とにかく数年に1回送ってくる。送ってくるときに、巨大な船に乗せてくるのです。長さ40メートルと言いますから、当時、世界最大の木造船だったようです。3隻ぐらいに100人近い人が乗り、上海から北上してくる。これは帆前船ですから、春に来るわけです。春は南風が吹くわけですから、南風に吹かれて北へ上がってきて沖縄に到着する。秋になると北風が吹いてくるので、上海へ帰っていくということで、半年いるのです。

 どこにいるかと言うと、だいたい今の首里城のようなところに陣取ります。超大国の貴族や武官、おそらくならず者なども一緒にいたと思いますが、そんなのが数百人来られ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題
大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
日本の財政と金融問題の現状(1)財政赤字の何が問題か
日本の財政は本当に悪いのか?将来世代と金利の問題に迫る
木下康司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二