『孫子』を読む:謀攻篇
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
諸外国から尊敬される国になることが最大の軍事力となる
『孫子』を読む:謀攻篇(3)彼を知り己を知れば百戰して殆からず
田口佳史(東洋思想研究家)
世界は現在も主義主張や宗教、さらには人種問題で対立や緊張が続いているが、それを解決するための方法、考え方が『孫子』には詰まっている。謀攻篇最終話は、いわば対立・競争から共生・融合への提言である。(全3話中第3話)
時間:11分21秒
収録日:2020年1月24日
追加日:2020年9月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●強い国家ほど周到な準備をしている


 その次、「夫れ將は國の輔なり」です。将軍というのは国家の中心にあるべきもので、つまり戦いの現場の長ですから、とても大切だということです。それから「輔周なれば則ち國必ず強く」とありますが、「輔周」というのは何かというと、補佐としての将軍がとても周到ならばということです。つまり、準備周到に全て備えあれば憂いなしでやっているような、そのような現場の長がいれば、この国は必ず強いわけです。「輔隙」というのは、補佐の将軍が隙だらけでまったく考え方もなっていないということで、そうであればその国は必ず弱いと挙げているのは、そういう現場の長しか集まってこない国であるということです。それから、周到な準備をするような国ではないということです。

 その意味では、わが国なども、どこからミサイルが飛んでくるのか分からないわけです。そういうときどうしたらいいかというと、それは米軍が、と必ず言いますが、はたしてそのようなことだけでいいのかということです。ミサイルが飛んでこないようにするにはどうすればできるのかという努力を、もっと根本のところを国会で討論するべきではないかと、私などはこういうのを読むと必ず思います。

 さて、次に「故に君の軍に患うる所以の者は三あり」というように、君主がまず問われなければいけないことは三つあると言っています。まず第一が、「軍の以て進む可からざるを知らずして、之に進めと謂ひ」です。もう進軍してはいけないというのに、進めと言うのはどういうことかというと、戦争をやってはいけないと言っているのに、戦争に持ち込むような指示や命令をするということです。これはとてもいけないことです。

 なぜ戦争になってしまうのかというと、世論というものがあります。そのようなとき世論は、戦争に対して慎重な政権とか政治家に対して腰抜けとか言って、戦わせようと威勢のいいことばかり言うわけです。このようなことは、我々もたくさん経験してきたと思います。そういう意味で世論というものは、いつも冷静になっていることが重要なのだということを、国民がこぞって言い合っていかなければいけないと、ここで言っているわけです。


●尊敬されることが最大の軍事力となる



スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
西郷南洲のリーダーシップ(1)薩長同盟と江戸城無血開城
江戸城無血開城で日本の危機を救った西郷隆盛の問題解決力
田口佳史
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
「教養」と「リベラルアーツ」の違いとテンミニッツ・アカデミー
教養とリベラルアーツの違い…一般教養からWhy、Howへ
曽根泰教
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(24)「皇室典範改正」を考える
【10minで考える】「皇室典範改正」社会の空気をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
中国春秋戦国時代と始皇帝(6)秦の恵文王、昭王、荘襄王の時代
秦による中国統一への道…恵文王、昭王、荘襄王が行なったこと
鶴間和幸
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(2)在留邦人の生命財産を保護する決断
武装解除の「厳命」を守るか、戦って在留邦人の「生命」を守るか
門田隆将
老子の神髄(8)『老子道徳経』「辯德第三十三」
「死して亡びざる者は壽なり」…主体的に生きなければ自由はない
田口佳史
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
天皇のあり方と近代日本(4)三島由紀夫VS東大全共闘
「人間天皇」を否定した三島由紀夫の思想が問うものとは
片山杜秀
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(2)『太平記』の複雑な成立過程
後醍醐天皇の鎮魂物語だった『太平記』改訂の秘密
兵藤裕己