日本人が知らないアメリカ政治のしくみ
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ホワイトハウスは「アメリカ最大のロビイスト事務所」
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(3)議会の実態とホワイトハウスの動き
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
教科書で見るアメリカ政治と実際の姿は相当違う。議員提出法案が基本とはいえ、半分ほどは役所起源だという。一方、大統領起源のものもある。オバマケア法案がそうで、オバマ氏が民主党議員に猛烈に働きかけ、修正と否決を繰り返しながらようやく通った法案だ。トランプ政権になって、この法案を廃止したいという動きがあった。その背後にはロビイストとしてのホワイトハウスの活動がある。そこで計られるのが大統領の能力だ。歴代大統領にどのような評価が下されているのか。(全5話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分55秒
収録日:2020年8月27日
追加日:2020年10月14日
≪全文≫

●「法案の墓場」として品質管理を行うアメリカ議会


―― ここまでお聞きしてきた話では、アメリカの政治は「チェック、チェック、チェック」で進み、権限も分かれている。教科書的にはそのようになるのですが、実際はどうなっているのかということを、今回からお聞きしてまいります。

 まず、先生がご用意くださったのは、提出法案の成立率の表ですね。

曽根 アメリカでは、法案が非常にたくさん出てきます。前回議員提出法案と言いましたが、議員が立法補佐を使って非常にたくさんの法案を提出します。ところが、これを見ていただくと分かるように、成立率はきわめて低いのです。

―― 前回のお話では、5000本出て100本ぐらいとおっしゃっていましたね。

曽根 ええ。成立率がとても小さい。だから、アメリカのキャピトル・ヒルは、法律が誕生する場所ではなく、法案の墓場であると言われます。

―― 墓場だと。

曽根 あそこはもう死屍累々の重なる墓場だというふうに見たほうがいいくらいです。

 ということは、議会は品質管理をしているともいえるわけです。つまり、ダメな法案はつぶしていく。だけど、法案は大量に出てくる。だから、法案が非常に多いのです。日本やイギリスで提出される法案は、基本的に内閣提出法案ですから、例えば120本出て100本通す。そのような国とはちょっと性格が違うのが、アメリカの特徴です。


●アメリカでは実質法案の半分は役所起源ではないか


―― なるほど。そのことを踏まえたうえで、先生にご用意いただいた「通過した法案(実質法案)」という表に進みますが、これはどう見ればよろしい表ですか。

曽根 日本ではよく重要法案と呼ばれるものがあり、日本の重要法案は分かりやすいのですが、アメリカでは重要法案は、なかなか見つけにくくなっています。

 だけど、実質的に重要な法案、例えば法律改正や予算措置などの伴う法案は、通過したものの中では、実はそんなに多くないのです。これを見れば分かるように、儀礼的な、例えば何かの名前を変えるなどという法案と、実質法案を合計すると100本ぐらい。そうすると、日本やイギリスなどと、それほど変わらないではないかということになるわけです。

 ここで重要なのは、実質法案の半分ぐらいが実は役所起源ではないかといわれてい...

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