電気自動車で、自動車業界の激変は起きるのか
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
電気自動車の世界的競争で勝ち残るポイントとは?
電気自動車で、自動車業界の激変は起きるのか
西川廣人(株式会社西川事務所代表/日産自動車株式会社 元代表執行役社長兼CEO)
これから、自動車業界にとってのゲームチェンジのメガトレンドとなりうるのが電気自動車である。日産は電気自動車に力を入れてきたが、その日産を率いてきた西川氏の眼に、今後の電気自動車への動きは、どのように映っているのだろうか。電気自動車が、自動車業界に与えるインパクトとは? また、時代はどのように変わっていくのか?(全1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:7分16秒
収録日:2020年11月10日
追加日:2021年7月5日
≪全文≫

●「長距離・高速」以外にもある電気自動車の方向性


―― 電気自動車を、どのように見ておられますか? 急速にゲームチェンジの材料として、どんどん進んでいくのでしょうか。

西川 二つあります。一つは、大きなメガトレンドがカーボンフリーに向かっていきますから、自動車もそちらへ行くと思う。今や新車を出したときに「電気の影は一つもありません。ただのエンジンです」と説明するのは、だんだん難しくなってきました。メガトレンドとしてそちらへ向かっていくことは間違いないです。

 一方で、電気自動車の商品のあり方として、テスラのように「長距離・高速」という、移動手段としてのエキサイティングな部分を強調したハイバリューなものも作れます。今の状態では、単価が高いほうが作りやすいですから、そちらの方向性が一つある。

 ただ、メガトレンドして見るとそれだけではありません。普通の車や、小さなモーターを使った近距離のコミューターという方向性もあります。今動いている、地域の公共輸送機関の代替のようなかたちで、これが電気で動くものになり、個人の自由であっちへ行ったりこっちへ行ったりするようなコミューター的な方向まであります。

 商品として、あるいは事業として、どの領域をどういうふうに進めていくのかは、これからの話です。いつごろ、どうなるかというのを含めて、まだまだ正確には見えないと思います。

 ただ、メガトレンドとしてそちらに向かっていることは間違いないです。


●日本の会社が電気自動車でフロントランナーになる道


西川 自動車の会社としてみると、どういう商品で、どういうビジネスモデルをつくっていくかが一つの大きなポイントです。今、「従来型で行きますよ」というのはあるでしょうし、メガトレンドが変わっていくにつれ、こちら側にシフトする、あるいは何かを付加したりするのかは、ビジネスの選択肢として一つあると思うのです。そこはまだ、日本の各OEMも、これから直面していく、これから選択をされていく部分だと思います。

 テスラが先行している部分もありますが、技術的な先行度合いで見ると、日本の会社は皆さん実践していて、技術的には十分先行していけると思うのですが、さっき言った、どういう方向のビジネスにしていくのかというところですね。

 それから、業界的に見ると「全固体電池」が出てきて、大幅にコスト...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
世界哲学のすすめ(1)世界哲学プロジェクト
日本発!危機の時代に始動する世界哲学プロジェクトの意義
納富信留
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦